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2013.07.11
「七夕」異聞〜時代を反映する短冊への願い
皆さんこんにちは井之上 喬です。
突然の梅雨明け、連日各地でこれまでの記録を破る猛暑が続いています。気象専門家は「今夏は1000年に一度の“千年猛暑”になるかも」と記録的な“猛暑”を予測。皆さんくれぐれも熱中症に注意しましょう。
今年も七夕(たなばた)の季節がやってきました。七夕は、平安時代に中国から日本に伝わると、先ず宮中行事として行われるようになったようです。江戸時代になり七夕行事が五節句の一つとなると、七夕は庶民の間におおよそ現在のような形で受け入れられ、全国的に広がっていくことになります。
日本各地で行われる七夕祭りも新暦派と旧暦派がありますが、旧暦(8月)で開催されているところの方が多いようです。夏休みやお盆期間と重なる8月の方が開催しやすく、人出も見込めるという事情に合わせているのでしょうか。
日本3大七夕祭りといえば宮城県仙台市の七夕と平塚市(神奈川県)、安城市(愛知県)。平塚市以外の2都市は8月の実施。また東京で有名な阿佐谷七夕まつりも福生七夕まつりも8月。
実は織姫と彦星は夫婦だった
7月7日の朝日新聞(朝刊)『天声人語』に、「我ながら知らないことが多いと恥じ入る。」に始まる、七夕伝説についての次のような記事が目に留まりました。
日本の飲料メーカーであるカルピス株式会社が2008年から始めている「七夕」に関する意識調査から引用したもの。
『天声人語』の筆者は、「七夕伝説は多くの大人が知っていた。ただ、織姫と彦星(ひこぼし)が夫婦だと正しく理解していた人は1割もなく、9割超が恋人と誤解していた」と書いています。
「2人は働き者だったが、結婚してからは機織りと牛飼いの仕事を怠けるようになり、天帝の怒りを買って引き離された。」としています。
そして、「年に一度しか許されない星合(ほしあい)の物語が、恋の成就を阻まれ、一緒になれない2人というイメージを定着させてしまったか」と綴られています。
短冊の色にも決まりが
笹の葉に結ぶ短冊の色についても、何でも良いということではないようです。これにも決まりがあって、使う色は、中国の五行説にあてはまる緑・紅・黄・白・黒の5色。
子供の頃、口ずさんだ七夕の童謡に「五色の短冊、私が書いた・・・・」という歌詞がありましたが、このことだったのですね。
第6回「七夕に関する意識と実態」(調査:カルピス2013年5月)では七夕の短冊に書きたい願いごとやかなえたい夢について回答してもらったところ、下記のような順位になったとのこと。
1位 【健康】 100歳まで生きられますように
2位 【仕事】 働きやすい会社に就職できますように
3位 【生活・くらし】 60歳までに1億円貯まりますように
4位 【恋愛・結婚】 イケメンと恋愛できますように
5位 【社会】 子育てしやすい環境や助成が整いますように
6位 【自然環境】 地球がいつまでも美しい星でありますように
7位 【政治】 国際社会に認められる日本にしてほしい
また、短冊に書かれる願いごとには、時代を反映する内容も目立つようです。
北海道から沖縄まで全国の母親ら約500人が7日、東京・永田町の首相官邸前に七夕飾りを立てて、「原発と放射線被曝のない社会」の実現を訴えました。「原発はいらない。子どもたちに安全な未来を」などと書かれた数百枚の短冊が笹竹に結ばれていたそうです。
南三陸町の志津川中学校仮設住宅の集会所では、「(アニメの)プリキュアになりたい」「町の復興をおねがいします」といった子どもたちの願いを書いた短冊。
千代田区内であった参院選候補者の支援者集会の会場では、「必ず当選」「子どもの未来を託せるのは誰だ?○○でしょ!」などのお願いやメッセージの短冊が並んだと報じられています。
これから皆さんが天の川を仰ぎ見る時、織姫と彦星に相変わらず恋人のイメージを重ねるのでしょうか、それとも新たに夫婦のイメージを重ねるのでしょうか。
笹の葉の短冊にそれぞれの願い事を書き記し、夏の風物詩として親しまれている七夕。皆さん今年はどのような願い事をしましたか?
私ごとで恐縮ですが、今年の七夕の日に初孫(女児)が誕生しました。彼女が幸せな人生を送ってくれることを願うばかりです。