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2012.02.27

うるう年の今年を“潤う”年に 〜あらためて考えさせられた説明責任の重要性

こんにちは井之上喬です。
ひと雨ごとに暖かくなってくる感じがします。もうすぐ春ですね。
今回のブログでは最近の新聞記事から興味深かった2つのトピックスを紹介します。

最初は、うるう年についてのお話。そして二つ目は民主党前原誠司政調会長に対する、産経新聞の「言うだけ番長」表現にかかわる記者会見出席拒否問題です。

2012年2月は29日が末日

今年は4年に1度の閏(うるう)年。ウィキペディアによれば「閏(うるう)とは暦の上で1年の日数や月数が普段の年(平年)よりも多いこと、または1日の秒数が普段の日よりも多いことである。またはその余分な日・月・秒のこと。暦と季節とのずれを調節するために入れられる。“うるう”という読みは、閏と潤を混同して“うるおう”という読みがなまったものとされる。」とあります。

地球は約1年で太陽を1周、正確には1年と約6時間で1周、つまり4年経つと約24時間のズレが生じ、そのため4年に1度、うるう年を設けて調整する、ということだそうです。

ただし、より正確には1年のズレは6時間より約11分短いため、100で割り切れる年はうるう年にしないという例外をつくり、さらに例外の例外として400で割り切れる年はうるう年にするとし、これが日本を含め多くの国で使われているグレゴリオ暦。

16世紀ローマのグレゴリウス13世の時代に出来たルールが今に生きているというから驚きです。

日本経済新聞2月25日付け朝刊のニュースクールにはわかりやすく、かつ詳しく解説されているので、興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。2月29日誕生日の人の年齢の数え方も解説されています。
4年に1度のうるう年は経済面でも、夏のオリンピック開催、アメリカの大統領選挙などがある年と重なり、好景気になる年とも言われています。

2011年は東日本大震災、タイの大洪水、欧州の経済危機と予期せぬ大きな出来事が頻発した年でした。今年は文字通り、うるう“潤う”年になることを祈りたいものです。

品格ある表現とは?

二つ目のトピックは民主党前原誠司政調会長が、同氏に誹謗的な記事を書いた産経新聞記者の定例記者会見への出席を拒否したとされる記事。

この問題は産経新聞が、これまでたびたび前原氏の発言に対して「言うだけ番長」と記載し批判的な記事を書いていたことに起因しています。同紙で前原氏を、言うだけ番長と揶揄したことに対し、前原氏が抗議し、2月23日の会見に産経新聞記者を締め出したもので、会見出席拒否は各方面に波紋を起こしています。
「会見取材拒否 前原さん、それはない」。これは朝日新聞の2月25日朝刊の社説の見出しで、同紙はこの問題を取り上げていました。

その中では、「公党、とりわけ政権与党の政策責任者が、報道された内容を理由に、特定の社を会見から締め出すなどということを、なぜやるのか。前原氏はみずからの説明責任の重さを自覚して、速やかに「産経排除」を撤回すべきだ」と書いています。

また産経新聞はこれまで、前原氏の言動に関し「言葉ばかりで、結果が伴わない人」との意味を、漫画「夕やけ番長」(梶原一騎氏原作)をもじって、「言うだけ番長」と表現してきたとし、前原氏が民主党代表を務めていた平成18年に起きた「偽メール事件」も念頭にあるとしています。

同紙がこれまで前原氏に対して「言うだけ番長」と表現した記事は、十数回に上っているようですが、日本は漫画文化の国。今回のように特に相手を揶揄するときに、表現が大人気ないと思われるものも少なくありません。

表現する側がそうした漫画などに使われている言葉やイメージを援用し、揶揄を交えて掲載することがどこまで許容されるのか難しい問題だとも思われます。しかし今の時代は書く側にも一定の品位が求められてくるのではないでしょうか。

ひとつの基準は、「もし自分がこうした表現で批判された場合どのように感じるか?」といった視点も大切だと思うのです。

公的な立場にある人の説明責任については私の著書『「説明責任」とは何か』(PHP新書)で実際の例も含め触れていますが、今回のケースでももし報道された内容が間違いや不適切であるならば、排除するのではなく会見などの場を使い国民に正々堂々と明確な理由を率直に説明する必要があります。

朝日新聞の社説には、以下の印象的な言葉が引用されています「こんな政治家の振る舞いがあるたびに、社会で広くかみしめられてきた言葉がある。『私は君の意見には反対だ。だが、君がそれを主張するする権利は、命をかけて守る』先人の、この名言を前原氏に贈る」とあります。

また、今回の前原氏の行動に対し、産経新聞は同氏に「猛省を促しコメントの撤回を求める」としています。皆さんはどう思われますか?

パブリック・リレーションズ(PR)の1つのプログラムに、メディア・トレーニングがあります。企業トップなどのスポークス・パーソンに、いかにして記者と良い関係を作るかをテキストと記者会見のシミュレーションなどを通し実感してもらうためのものです。

メディア・トレーニングの中で、私が経営する井之上パブリックリレーションズが重視する、言ってはいけないポイントの1つに、“その件に関してはノーコメントです”が挙げられます。

記者会見にしても個別のインタビューにしても、相手とのコミュニケーションが成り立ってこそ初めて機能しますが、ノーコメントを押し通すことは、片方がキャッチ・ボールを止めることになり、その時点でコミュニケーションが成り立たなくなるからです。

PR会社の重要な役割の1つに、相手との関係構築のプロセスで、人と人とのコミュニケーションのキャッチ・ボールが上手く行くための双方向のコミュニケーション・マネージメントが重要であることを改めて確信しました。

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