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2010.07.22

急成長する中国人向け国内観光市場 〜観光ビザの発給要件が大幅に緩和

こんにちは井之上 喬です。

毎年8月、9月は日本人の海外旅行がピークを迎える時期になります。昨年の実績(法務省出国統計)では8月が1,516,588名、9月は1,590,607名で年間最高となりました。
こうした本格的な旅行シーズンを前に、今回のブログでは急拡大する訪日する中国人観光客の動向についてお話しようと思います。

10年後に訪日外国人2,500万を目標に

観光は、日本政府が策定を進めている新成長戦略においてもひとつの柱に位置づけられています。2009年は約680万人であった訪日外国人数を2020年初めまでに2,500万人、将来的には3,000万人という目標が掲げられ、なかでも訪日中国人数の拡大が期待されています。

2009年の訪日中国人数は国際的な金融危機による景気後退にもかかわらず、団体観光客を中心に100万人を超えて来日外国人の15%を占め、韓国(22%)、台湾(15%)に次ぐ規模でした。

今年7月からは個人向け観光ビザの発給要件が大幅に緩和され、発給対象世帯がこれまでの10倍の1,600万世帯に拡大すると見込まれています。わが国の観光庁の統計によれば、2010年1月-5月の訪日中国人数はすでに昨年同期比36%増の勢いを示しており、今回の措置によってさらに拍車がかかることになります。

また、中国人観光客の平均消費額は12.8万円と、韓国(6.8万円)や台湾(11.8万円)を上回り、欧米先進国(米国15.0万円、英国13.1万円)と比較しても見劣りしない水準にあります(出典:三菱東京UFJ銀行の「経済レビュー」)。
2006年以降では、中国は日本にとって最大の旅行収支(来日外国人が滞在中に支払った財貨・サービスの対価)の受け取り国となっています。昨年は2,364億円と全体の四分の一を占めています。特に生活家電や化粧品といった物品の平均購入額が7.9万円と主要国の中では最も高く、ショッピングが来日の大きな目的となっています。

観光特集企画「魅力の日本 〜お国自慢ベスト3〜」

一方で日本の伝統的な景勝地などを訪れ、日本文化の体感を目的に訪日する中国人観光客も増加しつつあります。

ショッピングが来日の大きな目的ということでは、その高い購買力の恩恵を受ける地域やショッピングスポットが一部に固定され、拡がりをもてません。不振にあえぐ地方自治体においては、今後中国からの大幅な観光客増に対応するための取り組みが求められます。 

こうした背景のなかで私の会社(井之上パブリックリレーションズ)の中国事業支援室と中国語による情報サイトである「日本新聞網」(www.ribenxinwen.com)を運営する株式会社アジア通信社(東京都港区、徐 静波社長)とが協働して地方活性化観光特集『魅力の日本 ?お国自慢ベスト3?』 を企画しました。

この企画は、全国各都道府県別の「お国自慢ベスト3」(景勝地、物産品、温泉・宿泊地、祭りなど)を同サイト内で紹介し、日本の魅力を伝えることによって、多くの中国人観光客に日本の歴史・伝統・文化を理解していただくとともに、訪日機会の創出や日本での観光をより楽しんでもらおうという狙いをもちます。

現在、こうした目的で中国人観光客に勧めたい都道府県ごとの情報募集を始めています。掲載は無料で9月から漸次「日本新聞網」にアップしていく予定です。

この特集企画に関連して先週、ある観光業界紙の編集委員の方とお話する機会がありました。彼は「観光客誘致のためには地域ごとの交流人口拡大が不可欠。そのためには観光客に対する地域をあげたホスピタリティ精神が重要となる」と語っていました。

観光客と地域社会との良い関係性をどのように構築していくかは、まさにパブリック・リレーションズ(PR)の課題です。地方自治体がこのテーマにどのように取り組んでいくのか、また全国都道府県からどのような「お国自慢」が寄せられるか今から楽しみです。

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