パブリック・リレーションズ

2005.10.17

パブリック・リレーションズの実務家に求められる5つの基本要件4.IT(情報技術)能力

こんにちは、井之上喬です。
日一日と少しずつ寒さを感じさせる毎日ですが皆さんいかがお過ごしですか?
21世紀最強のリアルタイム・ソフトウェアであるパブリック・リレーションズは、刻一刻と変化する状況へリアルタイムに対応しながら最短距離で目的達成していく手法です。

そのリアルタイム性を高めるコミュニケーションの技術として「IT(情報技術)能力」が挙げられます。「倫理観」 「ポジティブ思考」 「シナリオ作成能力」 「IT能力」 「英語力」の5つの基本要件の中から、今回は、「IT能力」についてお話します。

ITの発達はコミュニケーションのスピードと質を一変させました。特にインターネットの普及は、情報発信者がターゲット(一般社会・パブリック)に対して伝えたい情報をリアルタイムで発信することを可能にしました。同時に、情報発信の機能を個人にまで開放し、点から点へダイレクトでインタラクティブなコミュニケーションを実現し情報流通の形態と質を飛躍的に変化させました。

特にこの数年間で世界では類を見ない、日本における高速かつ低額での常時接続インターネット・サービスの急速な普及は、コミュニケーションのリアルタイム性と双方向性を加速させ、パブリック・リレーションズの手法にも変化を促がしています。

このような状況のなかで広報担当者やパブリック・リレーションズの実務家は、日々進化を遂げるITに対する基本的な理解とその変化を敏感に捉えて対処していく能力が要求されます。

それでは、具体的にどのような能力が必要なのでしょうか? まず、最初にあげられるのは、一般的なビジネス・パーソンと同様に、基本的なビジネス文書や提案資料を書くためのITツールを使いこなす能力でしょう。例えば、WORD、EXCEL、POWERPOINTを操作することは現代のビジネス社会では必須のスキルであり、高度なプレゼンテーション能力を求められる実務家にとっては基本要件となるものといえます。

これに加えて、パブリック・リレーションズ特有の能力も必要になってきます。それは、パブリック・リレーションズの本質を捉えながら、新しいIT技術を従来のものと組み合わせて何ができるか考案したり、どうすればPR活動に導入できるかを編み出す能力です。この能力により、最新技術のコミュニケーション特性を理解し、自身のプランのなかで最適化することができます。
たとえば、ダイレクトかつ瞬時に情報発信できるブログを危機管理のツールとして使用し、危機発生時に公開すべき情報をリアルタイムで発信し、レピュテーションへのダメージを最小限に抑えたり、インターネットでターゲットの意識調査やログ解析などによる行動分析を行い、そのフィードバックを瞬時にマーケティングに役立てたりすることなどが挙げられます。

これらの新しい時代のPR活動は何人かの専門家が協力をすることによってはじめて達成されます。したがって、専門的な知識を持つ技術者や識者と連携し、新しい技術を導入しながら時代の流れに合ったパブリック・リレーションズを展開していくことが理想的といえます。

日本では、未だ政府規制やローカライゼーションの遅れなどにより多くのIT分野において、アメリカなど海外で開発された技術やアプリケーションの導入に後塵を拝する傾向があります。したがって、海外の動向に常に目を向け最新情報を取得できるように心がけることも重要となります。

一方、コミュニケーションの双方向性化が進み、組織体には常に情報の透明性やオープン性が求められるようになりましたが、組織体に帰属する情報つまり企業の財産となる知的財産(IP)や株価に影響を及ぼす可能性のあるコンフィデンシャル(機密)な情報などは適切に管理されなければなりません。誰でも気軽に情報にアクセスできる時代であるからこそ、外部に漏れてはいけない情報を守るセキュリティ・システムを万全に整える必要があるのです。

また、メディアの発達やインターネットの普及による情報洪水への対応も重要となります。必要に応じて欲しい情報を取り出す情報検索能力や、獲得した情報の中から本当に重要なものを瞬時に選別する能力も業務遂行には欠かせないものとなります。
刻一刻と進化をとげるIT技術はこれからのパブリック・リレーションズの進展へ大きく寄与し、様々な技術を組み合わせた新しいパブリック・リレーションズの展開は世界の持続的繁栄にも大きく貢献するものといえるでしょう。

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