趣味

2014.01.23

日本の建国は世界最古〜国を知ることは、国を愛すること

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

今週の20日(月)は、大寒でした。小寒(今年は1/5)から立春(同2/4)の間を寒の内と呼び、その中日が大寒と呼ばれています。これから春に向かって少しずつ暖かくなっていくようです。

年末年始の休みの間に、竹田恒泰さんの著書『日本人はなぜ日本のことを知らないのか』(2011、PHP研究所)を読みました。

読むきっかけとなったのは、先ずはその本のタイトルに惹かれたこと。本を開くと自筆の巻頭で「日本が世界最古の国であることを知っている人はどれだけいるでしょうか。そのことをはじめて知ったとき、僕はびっくりしました」とありました。

私もびっくりしました。どんなことがこの本に詰まっているのか読んでみたくなりました。

そして、皆さんにも紹介したくなりました。

著者の竹田さんは、1975年(昭和50年)に旧皇族・竹田家に生まれています。明治天皇の玄孫にあたるそうです。作家として著書『語られなかった皇族たちの真実』(2006年、小学館)で第15回山本七平賞を受賞。著書はほかに『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』、『原発はなぜ日本にふさわしくないのか』、『現代語古事記』などがあります。

日本が最古で、次いでデンマーク、英国

日本が世界最古の国家であることは、現在ではほとんど知られてないことですが、戦前までは誰もが共有していたことだと著者は語っています。

日本の建国については諸説ありますが、考古学者たちが主張するように大和朝廷の基盤となる王権が畿内で成立した三世紀前期とした場合でも、1800年前となります。これは『日本書紀』の記述とも一致するようです。

日本の歴史の長さは、他国と比較すると理解しやすいのかも知れません。現在190を超える国家のなかで日本に次ぎ、二番目に長い歴史を持つのがデンマーク。10世紀前半にヴァイキングたちを統合した初代国王ゴームが建国したと伝えられています。

次いで三番目が英国で、初代国王のウィリアム一世がフランスから海を渡ってきてブリテン島を征服したのが1066年、およそ950年前のことです。エリザベス女王はその子孫とされているとのこと。

国連の常任理事国でも英国を除くといずれも歴史が浅い国ばかり。アメリカが独立戦争を経て英国から独立したのが1776年、フランスはフランス革命が始まった1789年、中国は毛沢東が天安門広場で成立を宣言した1949年、ロシアはソヴィエト連邦が崩壊して独立を宣言した1991年がそれぞれ建国の年となっています。

他国に比べ「日本が二千年にわたって、単一の王朝を守ってきたことは、人類史上の奇跡といっても過言ではない」と竹田さんは述べています。

そういえば、日本には創業200年以上の長寿企業が3000社を超え世界の過半数を占めるといわれています。天皇を戴き継続性を重んじ、大きな変化を望まない、島国に住む日本人の国民性がそうさせているのでしょうか?

竹田さんは慶應義塾大学の大学院で憲法を講義していますが、「日本はいつ、どのようにできたのか」と質問しても、答えられる学生はほとんどいないといいます。大学院でも同様な状態であり、全国の大学生や高校生は日本の国の成り立ちを知らなのではないかと懸念しています。

現代日本人のほとんどが日本の建国について知らないという事態は、戦後教育や建国を祝う記念日が廃止されたことと深い関係があるといいます。これについては複雑な背景があり、この紙面では割愛させていただきました。

竹田さんは、こうした状況は国家の存亡にかかわる極めて重大な危機であると警告を発しています。

日本は建国を祝わない異常な国?

「建国記念の日」は佐藤内閣時代に「建国記念の日は、二月十一日とする」とした政令を定め、公布されました。1966年のことでした。

建国を祝う日が「建国記念の日」として復活したとはいえ、学校での歴史教育を変えるには至らず、建国は日本人の意識から希薄化し、日本は建国を祝わない異常な国になってしまったといいます。

建国記念日は通常、国を挙げて盛大に祝うもの。家庭で家族の誕生日や会社の創立記念日を祝うのは、普通のことであって、まして建国を祝うのは世界の常識です。

たとえば、アメリカでは7月4日の独立記念日、フランスは7月14日の建国記念日には、いずれも盛大な祝賀式典が行われ、国民が揃って建国を祝っています。中国では10月1日が国慶節という建国を祝う祝日とされ、この日を挟んで約一週間が大型連休となるほど重視されています。

日本の「建国記念の日」は、日本人がこれを祝わないばかりか、建国を祝う政府主催の祝賀行事も今は行われず、外国人からは日本は世界のなかでも建国を祝わない、異常な国と映っているといいます。

これは私個人の分析ですが、多くの年配者にとっては「建国記念日」のイメージは戦前の暗い時代を想起させることに繋がっているのではないでしょうか。明治維新以降、先の大戦まで「富国強兵」政策により天皇は万世一系の家長として利用され神格化されてきました。

太平洋戦争開戦前年の1940年(昭和15年)に、紀元2600年記念行事が行われています。神武天皇即位紀元(皇紀)2600年の祝事です。戦後私の幼少時代に聞いた、祝事を記念して作曲された勇ましい唱歌はいまでも脳裡に残っています。

いまの若い世代には理解しがたいところがあるのかもしれませんが、日本の「建国」への理解不足については、「建国記念日」=「天皇の世紀」=「明治維新以降天皇が侵略に利用されひどい目にあった国民」といった建国の意味自体が歪められてきたことが原因と考えられなくもありません。

竹田さんは、日本が最古の国であることを知ったとき、心から感動し「日本はすごい国なんだ」と思ったといいます。祖国を愛する心やこれほど日本人に誇りを持たせる歴史を教えないことに強い疑問を持ったことが『日本人はなぜ日本のことを知らないのか』を出版する動機となったようです。

いま日本は、官民あげて「ジャパン・ブランド」の構築と普及促進に力を入れていますが、新たに「世界最古の国家日本」をしっかりアピールしていくことも賢明なことかもしれません。

グローバル社会は多様性を認め合う社会。その中で自らのアイデンティティを保持するために自国の歴史を知っておくことは、国際人として最低限必要なこと。

そのためには、新しい世代にも理解できるように歴史を顧みつつ、「建国」の意味をもう一度考え、共通認識を深めていくことは大切なことではないでしょうか。

パブリック・リレーションズ(PR)の手法を用いて、国民の意識改革と世界への情報発信を積極的に行うことが求められます。

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