趣味

2010.11.04

短い秋を絵画で楽しみませんか? 〜色あせないゴッホの作品、没後120年の鮮烈なメッセージ

こんにちは井之上 喬です。

台風と木枯らしが一緒に来るような異常気象の日本列島、一気に冬になってしまいそうですが、短い秋を満喫していますでしょうか。

秋といえば食欲の秋、スポーツの秋、そして芸術の秋、と何をするにも良い季節ですね。
今回は芸術の秋です。今年の1月25日号のブログでは「ルノワール展」について触れましたが、今回は10月末に「ゴッホ展」に足を運んでみました。

展覧会好きな日本人

まずは展覧会を見に行った直後の日本経済新聞朝刊に、日本人の美術展に関するクイックサーベイ記事を見つけました。興味深い調査結果でしたので紹介します。

その記事には、いま美術展が活気づいているとし、特に2010年はモネ、ルノワールといった印象派、ゴッホ、セザンヌといったポスト印象派に関する企画展の当たり年だそうで、「印象派年」とささやかれるほどと分析しています。

20歳から60歳代の男女1000人を対象にしたインターネット調査によれば、「過去半年の間に美術展を見に行ったか?」との問いに対して31%の人が「見に行った」と答えており、この数字は予想より高い数字で日本人の展覧会好きがうかがえるとしています。確かに3人に1人の割合は、多いような気がします。

ITの進化でデジタル・コンテンツが氾濫するなか、アナログの象徴ともいえる絵画への探求が心の癒しを求める人たちのなかで強まっているのでしょうか。

また、「最も見たい作家は?」との問いに対しては、トップ5にゴッホ、モネ、ピカソ、ルノワール、ダリが並び、その後にレオナルド・ダ・ビンチ、シャガール、東山魁夷の名前が挙がっていました。こうしてみると海外の作家に人気が集まっていますが、皆さんが好きな作家は含まれていますか?

調査結果で興味深かったのは、「入場料と最も見たい美術品は?」の質問。入場料についての答えでは、1,000円未満が56%、1,000円から1,500円未満が37%とこの2つが圧倒的で、手ごろな料金で素晴らしい芸術作品に親しみたいという正直な気持ちが現れています。

また、「見たい美術品は?」に対する答えは、西洋絵画が39%でトップ、続いて写真14%、日本画10%、仏像8%、工芸品7%となっており予想通り西洋絵画の人気は高いのですが、写真、日本画そして仏像などとさまざまな芸術分野に興味が広まっている様子がうかがえます。

ゴッホの凝縮された10年を展示

東京・六本木の国立新美術館で10月1日から12月20日まで「没後120年 ゴッホ展?こうして私はゴッホになった」が開催されています。

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853年?1890年)は、前述の日本経済新聞のリサーチ結果でもわかるように日本での人気も高くこれまでも数多くの展示が行われています。

私がゴッホの絵と最初に出会ったのが、今から35年ほど前のアムステルダムの「ファン・ゴッホ美術館」。それまで美術本でしか見なかったゴッホの鮮やかな色彩と力強い絵を目の当たりにし衝撃を受けたものです。

ゴッホは本格的に画家を志望してから自ら命を絶つまでのわずか10年間で、約2000点の作品を残しているとされていますが、今回の国立新美術館での展示では、ゴッホがいかにゴッホ流のスタイルを追求し続けたかに焦点を当てています。
またゴッホの代表作だけではなくクロード・モネやポール・ゴーギャンなどゴッホに影響を与えた作家や、ゴッホの大胆な色彩表現に影響を与えた歌川広重などの浮世絵、関連資料など123点が展示。

今回の展示の中で私が印象に残った作品は「アイリス」です。ゴッホが37才で亡くなる約2か月前の5月に描いた静物画です。鮮やかなレモンイエローの背景の中から、紫のアイリスの花束が浮き上がって見える見事な作品。

それぞれの色が激しく競いながらお互いを鮮やかに強め合うアイリス。そのなかで、一部の花が、彼のその後を予兆させるかのように、腰が折れ瓶の下にしなり落ちているさまがとても印象的でした。120年の歳月により紫や黄色は多少色あせているかもしれませんが、作品自体の魅力は変わらないと思いました。

パブリック・リレーションズ(PR)でも、メッセージングは非常に重要な役割を果たします。それぞれのターゲットにいかにメッセージを的確に伝えるか、このあたりは芸術作品に似ているとも言えます。

他にもすばらしい作品が盛りだくさんです。ちょっと時間を調整して足を運んでみてはいかがでしょうか。ちなみに入場料は、当日1,500円、前売1,300円です。
この日は大いに納得して家路につきました。

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