趣味

2008.12.20

私の心に残った本 21 『だいじょうぶだよ』

『だいじょうぶだよ』 晴佐久昌英著 こんにちは、井之上喬です。
みなさん、いかがお過ごしですか?

今年もまたクリスマス・シーズンがやってきました。
クリスマスは約2000年前、ユダヤの村の「馬小屋」で生まれた、イエス・キリストの誕生記念日。世界の多くの人々が、世界平和や安寧に心を留めながら静かにイエス・キリストの降誕を祝います。

今回は、クリスマスの贈り物にもなる、『だいじょうぶだよ』(2001年、女子パウロ会)という小さな本をご紹介します。同書は、カトリック高円寺教会の主任司祭である晴佐久昌英さんが書いた詩集です。

天がくれた贈りもの

晴佐久昌英さんの著書については、以前このブログ2007年6月22日号で『恵みのとき 病気になったら』(2005年、サンマーク出版)を紹介しました。晴佐久さんは他にも数多くの本を出版していますが、彼の優しさと人の痛みに対する共感から生まれる言葉は多くの人の心を打ち、癒し続けています。この『だいじょうぶだよ』という本も、初版から7年経ったいまでも第14版を重ねるロングセラー。その中の「贈りもの」という詩のなかにこんな一節があります。

「何もかも失った人に
みんなから見捨てられた人に
あなたの痛みにつながりたいと
そっと差し出す一本の手を贈ろう
その手を握ってくれた
あなたそのものが
わたしへの最高の贈り物だから
その瞳の奥で
目には見えないはずの贈りものさえ
一瞬ゆらめくから」

クリスマスに人々は、家族や友人の幸せを願ってさまざまな贈りものを交換します。

苦しい時に何よりも嬉しいプレゼントは、思いやりあるメッセージ。この本には32の心温まる詩が集められていて、つまずきそうな私たちの心をそっと支えてくれます。

いつでも希望に思いを馳せる

「苦しい時は 昔を思い出すといいよ
自分が生まれた日
はじめて母のふところに抱かれてやすらいだ朝を
わが子に人生を与えた親の思いを
思い出すといいよ
悩みなく遊びまわった幼いころ
ころんでもころんでも世界を信じて
傷が治らないうちにまた走りだした夏休みを
思い出すといいよ
夢破れて死のうとさえ思ったあの夜を
もう二度と朝はこないと思っていたのに
やがて魂に忍び込んできたあの夜明けの美しさを」

現代社会は、貧しさにあえぐ人や精神的に困窮する人など、苦しい人であふれています。しかし、晴佐久さんは、人は苦しい時こそ希望を見つめて闇の中に光を見出すべきだと、読者に語りかけています。

混沌とした世の中に身を置いている私たちは、日本の未来に光を見出すことは難しいと感じているかもしれません。しかし、日本を担うべき国民がその問題の中に埋もれてしまっていては、繁栄の石杖を築くことはできません。私たちには、日本人のもつ本来の良さや独自性などに光を当て自ら希望をつくり出していくことが必要とされています。そのような一人ひとりの強い意志と行動こそ明るい未来を切り開く原動力となるのではないでしょうか。

私たちの生活はせわしなく、時として豊かさの本質を見失いがちです。この本は、そうした心の豊かさと安らぎを私たちに与えてくれているように思います。是非、クリスマスの夜に手にしてみてはいかがでしょうか。

「聞こえる 聞こえる
世界を変える 赤ちゃんの産声が聞こえる
星空に響く 天使のほめうたが聞こえる
いま 新しい時代を告げる
よろこびのしらせが聞こえる」

メリークリスマス!

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