趣味

2008.05.17

私の心に残る本 16 『いつまでもデブと思うなよ』〜レコーディング・ダイエットとは?

いつまでもデブと思うなよこんにちは井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか?

一年で50キロ減量した。117キロから67キロへ体重を落とした。作者の体験的ダイエット本がいま注目を浴びつつあります。レコーディング・ダイエットというダイエット法で、食事のたびに何を食べたのかひたすらメモ帳に記録すればOKというものです。

著者は大阪生まれで作家・評論家の岡田斗司夫さん(48才)。『いつまでもデブと思うなよ』(2007:新潮新書)は、岡田さんのダイエットの技術と思考法によって実践され、成功したことをこの本にまとめています。このダイエット法にいま関心が高まっています。

「見た目主義社会」の到来

岡田さんは、人間は見た目が大事といっています。現代が見た目・印象主義社会であるから、人はまず見た目で判断される。だから「キャラ付け」もまず見た目が優先されるとしています。 私たちが知らないうちに日本社会は大きく変革しており、その最大の変化は「見た目・印象」を重視する「見た目主義社会」への移行。これらは表層的な変化ではなく、ビジネスや経済の最大要因にもなりうる変化と持論を展開しています。「つい30年前までは学歴主義社会」だったものが最近は見た目主義が勢力を増し、これに取って代わろうとしているといっています。

著者は、自身がダイエットを始めるとき、やせる必要性を考えて実行を開始したといいます。初対面の時などは見た印象で決定される。読者に「太っていると損をする」という現実認識が重要となると訴えています。

この考えは、私がよく大学の授業「パブリック・リレーションズ論」で学生に教える時に引き合いに出す、「メラビアンの法則」と共通しているものがあるように思います。メラビアンの法則は、米国のアルバート・メラビアンが提唱したもので、プレゼンテーションの評価は内容よりも見た目と耳からの印象で決まるとし、55%が表情、服装、髪型などの見た目(ビジュアル)で、38%が声の質、話し方など、最後のプレゼンの内容は僅かに7%に過ぎません。

もちろん著者がやせようと考えたのは、見た目を重視するだけでなく肥満によっていろいろなものが窮屈になりお金もかかるなどの理由から。彼は、見た目の印象を形作るものは3層に分類されるといっています。第一層は肉体そのもの。第二層はファッション。第三層は言動。このうち最初の肉体は、体格と体型の二つに別れ、最初の体格は改造不可能なもの(身長、肩幅、手足の長さなど骨格に由来するもので改造不可能なもの)。二つ目の体型は、改造が可能なもの(ウエスト、腹回り、太ももの太さなど筋肉や贅肉に由来するもの)としています。彼はこの中で体型の改良のためには、ダイエットが有効であるといって、自らの体験を読者に薦めています。

一年で50キロの減量に究極の技術と思考法で成功した岡田さんのモットーは、「楽しいダイエットでないと続かない」。ダイエットの最中には食事や飲み物にいつも気を使い、神経をすり減らしストレスを抱え込むことが多くみられます。「好きなことを我慢するのに、精神力や意思力は必要ない。ダイエット製品を買い揃える経済力も必要ない。仕事で疲れきった体をジムに運んだり、毎日トレーニングしなければならない時間も作らなくていい」つまり、「レコーディング・ダイエットはメモとペンだけ」とこのダイエット法が極めて簡単なことを強調しています。

ダイエットのための6つのフェーズ

「レコーディング・ダイエットとは、記録することによるダイエットであり、記録するという行為の積み重ねによって自分の行動管理を目的とする」もの。そしてレコーディング・ダイエットを飛行機の一連の運動にたとえて、1)が助走、2)が離陸、3)が上昇、続いて4)巡航、5)再加速、6)軌道到達、と6つのフェーズを経てダイエットが完了。後は月面着陸の気分としています。

著者は、このダイエット法について、助走では、1)体重を毎日量る、2)口に入れたものをすべてメモする、3)我慢しない、今まで食べたいものは食べて、ひたすらメモすることにより自分の行動を客観化することが「やせる」結果をもたらすといっています。この期間は、対策を練るための期間で、楽しい旅行プランを練る期間。

次の離陸期間では、1)体重体脂肪率を毎日計ることで、2)口に入れたものすべてメモしカロリーの計算をする。3)は、どうやれば総カロリー数を減らせるか想像してみる。でも我慢しない。早い人で2週間、最長でも2ヶ月あれば「自分の食事生活パターン」が判ってくるようになる。自分で生活パターンが判ってきたら、助走期間が終わり次の離陸に入ります。助走から離陸へのタイミングは自分できめます。2)のカロリー計算では最近はコンビニやファーストフード、インターネットのサイトから簡単に入手できるはず。この期間は1-2週間、気の短い人は三日ほどで次の上昇段階に入ることが可能。

カロリー計算がなんとなくこなせるようになったら、第3段階の上昇に入ります。このあたりから体重変化が起こり、体が軽くなり、ダイエットが楽しくなるそうです。具体的には、「一日あたりのカロリー摂取量を一定範囲内に抑える」ことを目指す。摂取カロリーは「自分の基礎代謝量ぎりぎり」あたりが最も効率よくやせられる。基礎代謝量とは、呼吸や体温調整など生命を維持するために消費されるエネルギー。眠っている間でも消費されるエネルギーで、人間が生きていくうえで必ず消費されるエネルギーをさしています。もちろん男性、女性、年齢などによって違うようで、ちなみに、50-69歳男性は1,350Kcal。作者は1,500Kcalでこの数字が目安。基礎代謝量より下に設定することはいけないようです。上昇のポイントは4つあり、1)体重、体脂肪率を毎日計り口に入れたものをすべてメモしカロリー計算する。2)摂取カロリーは個人の基礎代謝量にあわせて決定しそれを守ります。3)は食べ過ぎても後悔や反省はせず、翌日のフォローで切り抜ける。4)毎日水を2リットル飲む。レコーディング・ダイエットの場合は食べすぎより記録していないことの方が問題のようです。とにもかくにも記録することが重要。

次は巡航です。毎日記録をつけて規定のカロリー数に抑えそれを無理せず継続できるようになったらあなたはもう巡航段階に突入したことになります。カロリー制限を開始して(上昇)75日あたりから体質は大きく変化します。体重は減るが皮下脂肪を燃やし始めた体は、恒常性維持(ホメオスタシス)のために、やせようとする意思に反して体が妨害してきます。精神的にも不安定になり気力が衰え、気分も落ち込みがちになります。この飢餓感と落ち込みは1-2週間続くが、この段階を通り越せば、この「飢餓感と不安」はうそみたいになくなるようです。体がついに抵抗をやめ、やせることを認めるようになります。これが75日目の体質変化です。ポイントは、脈動的に変化する。体重、体脂肪重量、サイズの3つが2週間以上にわたって変化がない場合(停滞期)は豆乳や野菜ジュースなど他のダイエット法(ウオーキングなど)と併用します。

この時期も克服し、周囲の人にどうやってやせたのか聞かれるようになり、カロリー計算が反射的にできるようになったら、再加速段階に入っているということ。一番わかりやすい転機は自分の好物に明らかな変化が見られる時です。もう少し食べたいと思って箸を置きあとで「ちょうど満腹」になるのが理想的。胃袋が発する「あと少し」という細かいサインに注意してそこで食事をやめることがすすめられています。つまり自分の体の声を聞くということ。食欲には「頭だけが食べたがるもの(欲望)」と、「体が食べたがるもの(欲求)」の2つがあり、自身が発する何々が食べたいという欲求のサインを聞くようにすることが肝要。

体の欲求がどんどん自覚できるようになると最終段階の軌道到達の準備ができたことになるとしています。計器飛行をやめて有視界飛行に移る。すなわち「レコーディングをやめてカロリー制限もしないで食事をする」という段階。そのためには、再加速段階で意識した空腹満腹感を更に強く意識する。「軌道到達」に達するということは「必要な分だけ食べたら努力なしに食べるのをやめられる」という状態になっているということのようです。

その結果は月面着陸の体験。重力6分の1で、夢のような気持ちが味わえるというわけです。

岡田さんのこのダイエット法は、日ごろ多忙なPRパーソンにとってはあり得ないような話です。早速、数日前から始めることにしました。皆さんもいかがですか?

書籍

注目のキーワード
                 
カテゴリ
最新記事
アーカイブ
Links

ページ上部へ