時事問題

2010.04.28

驚異的な中国の成長 〜巨大なブラックホール

こんにちは、井之上喬です。

先日、中国へ出張しました。昨年9月に北京訪問して以来、半年ぶりの訪問でした。
北京、石家荘(北京から南へ300km)、上海、蘇州(上海から西へ80km)と4都市を回りました。
今回の訪問はまさに驚きの連続でした。

北京、上海以外の地方都市訪問はこれ迄あまりありませんでしたが、石家荘も蘇州も見事に開発されていました。
とくに蘇州(江蘇省)の発展には、思わずうなり声をあげるほど。
中国は人口もさることながら、広大な土地や都市部で立ち並ぶ高層ビル群、幹線道路の広さなど、エネルギッシュでそのスケールの大きさには本当に驚かされますね。

紀元前6世紀に呉の国の都が置かれた古都、蘇州へは上海から車で行きましたが、電車もあり、36分で行く新幹線もあるそうです。人口約600万人の蘇州市の中心部には大都市には珍しく湖(金鶏湖)があり、そこを目指して約1時間のドライブ。
目的地に着く間に目に入る光景は雄大ですが、途中途中に小都市があります。高層マンションが立ち並び、昔の中国のイメージからはかけ離れた光景。高速道路も、広い車線で車のナンバープレートはブルー。

大型車が少ないことを除けばほとんどアメリカのハイウエイを走っているような錯覚にとらわれます。
蘇州中心部に入る途中に、産業団地を通過しますが、区画整理がよくできていて、シリコンバレーを彷彿させるような低層の建築物が配置されています。

湖のそばの街並みにも驚かされました。シンガポール政府の投資も入っていると見え、ともかく全てが綺麗なのです。オレンジ色の屋根の大きな別荘が並び、湖の周辺は高層ビル群。ここが中国だとは想像もできないほどです。

見ていると、おそらくプロのランドスケープ・デザイナーが設計したと思われるしっかりした街づくりを行っています。
日本で新しい地域開発を行った場所を見ても、建物だけしっかりしていても全体の調和を考えたデザインが行われた場所にお目にかかったことはありません。一党支配体制の国家だからできることなのでしょうか、情けなささえ感じます。

高速道路を走っていたときに、同行してくれた現地の人のお姉さんが「高速道路に投資をしている」ことを聞きました。
中国では、高速道路や水道などのインフラ系に何と民間企業(外国企業も含め)だけでなく、一般の住民も投資できるようです。このお姉さんの場合は毎年の投資利回りは10%だそうです。

日本の場合、かつての国鉄や道路公団のように、これまで「インフラ系は政府の仕事」として政府の資金で建設・運営されてきました。一時期「第3セクター方式」で官民共同プロジェクトがもてはやされましたが、建設まではなんとかできても、いつも運営でつまずき、無責任経営で大半のプロジェクトは成功しませんでした。

毎年利回りが10%ということは、当然事業そのものがうまくいっていなければ実現できない訳ですが、13億超の人口を抱える中国の物凄いエネルギーを感じます。

自信に充ち溢れる現地の人たちをみて、日本はやがてこの巨大なブラックホールに呑み込まれるのではないかと危機感を抱くのは私だけではないはず。

漂流する日本を立て直すのはこの10年が勝負。いやこの2‐3年かもしれません。
860兆円の赤字を抱える日本で最重要課題は経済再建。成長戦略の明確な方向性と具体的な処方箋を早急に作らなければなりません。もう時間はないのです。

 

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