アカデミック活動
2017.09.04
「未来の先生展2017」から〜国内最大級、未来の教育を描く150に及ぶセッション
皆さんこんにちは、井之上 喬です。
東京都心は8月22日、8月に入って初めて雨が降らず、連続降水日数は21日間で途切れました。これは観測史上2番目の長さだったとのこと。最長期間は22日間(1977年8月6日-27日)の記録だそうです。
さて8月26日(土)と27日(日)の両日、体験型“未来の教育 ショーケース”を目指した「未来の先生展2017」がお台場にある武蔵野大学有明キャンパスで開催されました。
期間中、「公教育」や「私教育」、「国内」・「国外」の枠を超えて、教科教育からスポーツ、芸術、そして学校の枠にとらわれない21世紀型授業や国際系教育、オルタナティブ教育そしてICT、親子向けプログラムなど、未来の教育を描く150に及ぶセッションが20の教室で組まれました。内外から約2500名が参加した国内最大級のイベントには、教育実践家や関係者が集い、未来の教育について語り合う熱い2日間となりました。
会場環境を次期学習指導要領の要となる、“主体的・対話的で深い学び”を子どもから大人まで体験できるようにしつらえ、前川喜平前文部科学省事務次官も27日午後のセッションに特別ゲストとして参加。 「多様性を受け入れる学校づくり?マイノリティ当事者の声から、できることを考える」というテーマで、引きこもりや性的マイノリティ問題についてディスカッションしました。
この教育イベントには、グローバルビジネス学会(SGB)も文部科学省、武蔵野大学と共に後援に名を連ね支援。 SGB提供のセッションタイトルは、「グローバル・ローカル時代を生きる個を育む教育」(27日午前)で人材育成をテーマに私も講演・パネリストとして参加しました。
http://lamp.design-comp.info/mirai/pdf/27/global-local_katamen_0824.pdf
幼児教育からの「絆(きずな)教育」
パブリック・リレーションズ(PR)は、いうまでもなく主体を取り巻く様々なステークホルダー(パブリック)との間のリレーションジップ・マネジメントです。
したがってその遂行においては双方向性をもつ異なった視点が求められます。これにより異なった言語、宗教・文化・歴史をもつ人々の間での相互理解が可能となるのです。多様性が求められるグローバル環境では、コミュニケーション能力を持ち、世界の人々と心の通った相互理解ベースでの交流を行うことができる、「個」の確立した人間力を有するグローバル人材の育成は不可欠なこととなります。
私は2004年からこれまでいくつかの大学・大学院でパブリック・リレーションズを教えてきましたが、高等教育からの教育では手遅れであることを痛感しています。とりわけネット社会の急速な成長によりグローバリゼーションがハイパー化するなか、パブリック・リレーションズの根幹をなす「関係づくり=絆(きずな)づくり」をベースにした教育は喫緊の課題になっています。
これまで長年にわたって、幼児教育に始まり初頭、中等教育での「絆教育」が教育現場に必要ではないか、また教師養成も含めたシステムづくりが必要ではないかと訴えてきました。
講演(写真)では、こうした視点から私が考えるパブリック・リレーションズ(PR)や「絆教育」について述べ、それがグローバルビジネス人材に不可欠な要素であることを強調しました。
このセッションの参加者(講演・パネリスト)は、「百ます計算」で有名な蔭山英男さん(陰山ラボ代表、元大阪府教育委員会委員長)や前早稲田大学総長の白井克彦さん(日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)理事長)、そしてパネルデスカッションのファシリテーターは、脇阪嘉明さん(朝日学生新聞社長)。パネルディスカッションではそれぞれ異なる専門分野を背景にパネリストによる真摯な議論が交わされたのでした。
「未来の先生展2017」の会場となった武蔵野大学有明キャンパス(写真左)は、2012年の開設。未来の日本の教育について語り合う国内最大級のイベントを実施するうえで、環境・設備とも申し分ないものでした。
写真右は、27日特別ゲストとして参加した前川喜平前文部科学省事務次官と筆者。
コミュニケーションの基本を学ぶ絵本
前川さんにはお忙しい中、私が関係するもう一つのセッション(27日16:20?17:50)「絵本でコミュニケーションを学ぼう!」を覗いていただきました。
このセッションは、子供が他者と絆(きずな)をつくり、グローバル社会で生きていくためのコミュニケーションの基本について絵本を使って学ぶプログラム。
『リスおばあちゃんのふしぎなうた(仮題)』という絵本(サンプル版)を読み聞かせた後、セッション参加の皆さんで「仲たがいした二人が、どのようにして仲直りするか」をテーマに2コマの絵本づくりに取り組んでもらう、といったワークショップ形式のものでした。
『リスおばあちゃんのふしぎなうた』は、他者とより良い関係を構築し、最短距離で目標を達成するパブリック・リレーションズ(PR)の方法論を用いて幼児・子供向けに企画・編集された絵本です。
この絵本は、パブリック・リレーションズに欠くことのできない目的達成のための3つの要素である「倫理観」「双方向性コミュニケーション」そして「自己修正」を抱合した私が提唱する「自己修正モデル」の研究をベースに私が監修するものです。
主催者の「未来の先生展実行委員会」の委員長の宮田純也さんは早稲田大学時代の教え子。8月最週末の2日間のイベントは成功裏に無事終了したのでした。
*「未来の先生展2017」の詳細は下記ホームページをご参照ください。