アカデミック活動

2006.01.13

マーコムの専門家、早稲田大学亀井昭宏教授と元サントリー広報部長、小玉武さんを授業に迎えて。

こんにちは、井之上喬です。
皆さん、いかがお過ごしですか。

これまで「パブリック・リレーションズ 概論」の授業では、パブリック・リレーションズの幅広さや奥深さを実感してもらうため、社会の各方面で活躍するゲスト・スピーカーをお招きして、学生の立場では普段触れることのできないお話しを直接語りかけていただきました。
今日は、私のこの授業の立ち上げにもご協力いただいた二人の先生をご紹介したいと思います。早稲田大学商学部教授の亀井昭宏さんと早稲田大学教育学部講師(同大学参与)の小玉武さんです。

特に亀井教授には、2004年度からスタートした二つの授業、「パブリック・リレーションズ概論」と「パブリック・リレーションズ特論」の実現に当授業の担当教授として多大なご支援をいただきました。スタート以来、毎セメスターに亀井教授に「マーケティング・コミュニケーション」について講義いただいています。亀井先生は広告論、マーケティング・コミュニケーション(マーコム)の専門家であり、日本広告学会の会長を務められたこともあるアカデミック界の重鎮といえる方です。

授業の中では、「インターネットの普及により誰もが情報発信者になり得る時代が到来しており、双方向性コミュニケーションによるターゲットとの相互理解の重要性が一層高まっている。その実践には、常に相手の視点を押さえた行動が求められる」と語ってくれました。
また、ネット社会において、組織体におけるパブリック・リレーションズ部門の役割として、ブランド構築による企業価値向上の重視性を採り上げ、そのためには組織体の経営理念やビジョンを明確に掲げ、ターゲット(一般社会・パブリック)に浸透させていく活動に力を注ぐべきであり、その有効な手段として、影響力のある人たちとの対話(インフルエンサー・リレーションズ)の重要性を指摘されました。

二人目は、元サントリー広報部長の小玉武さんを講師にお招きしました。小玉さんとは、私が(社)日本パブリックリレーションズ協会で国際委員長を務めていた時期に一緒に活動させていただきました。1964年にサントリーがはじめて広報部門(広報室)を設置したときから足掛け20数年にわたって広報畑を歩まれた方です。またTBSブリタニカの取締役出版局長として「ニューズウイークジャパン(日本語版)」の立ち上げに関わったり、文化事業部長としてサントリーホールを中核とした文化活動を統括するなど、広報エキスパートとして当時サントリーの社長・会長であった佐治敬三さんを幅広くサポートし、サントリー広報の黄金時代を築かれた方です。

今回は「組織と広報」と題して企業広報の現状についてお話しいただきました。講義では、情報技術の発達に伴い組織体と個人、情報の発信者と受け手の関係がますます複雑・多様化しており、改めて広報部門の位置づけが問われている現状を語ってくれました。そして企業広報の存在意義として、企業の広報部門が経営に直結した広報を担うべきであると話してくれました。
また危機発生時の対応が結果を左右するクライシス・コミュニケーションにおいて、スペシャリストが対応すべきであり、社内での有能な人材育成と外部専門家からのアドバイスを採り入れる体制づくりが急務であるとお話しされていたのがとても印象的でした。

パブリック・リレーションズを成功に導くには理論と実践の両輪が必要です。マーケティング・コミュニケーションの分野で長年にわたり活躍される専門家や日本の企業広報の現場での豊富な経験を持つ方からのお話しは、学際(学部間の垣根を越えた)授業に参加した学生にとって得がたいものであったと思います。

パブリック・リレーションズを実践する現場では、目標を見失わない一貫性とリアルタイム性をもって状況変化に対応できる柔軟性が同時に必要となることを改めて確認する貴重な授業であったと思います。

亀井先生、小玉さん、ありがとうございました。今後のますますのご活躍を心よりお祈りしています。

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