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2018.05.11

交通渋滞は何故起きるのか 〜「渋滞学」の第一人者と渋滞予報士に聞く

皆さんこんにちは、井之上喬です。

ゴールデンウイーク(GW)はどのように過ごされましたか?
JTBはGWの宿泊旅行の動向調査では海外・国内旅行を合わせた総旅行人数が過去最高の2443万人になる見込みを発表。国内の旅行人数は前年比1.0%増の2384万人で、海外への旅行者数は前年比0.7%増の58.5万人を予測していました。

今年のGWでは最長9日の休みを楽しまれた方もいらしたかと思いますが、多くの方は前半3日、後半4日と分断された連休となりました。こうした日程の関係もあって旅行者数の大きな伸びにつながらなかったようです。

私は、今回のGWでは珍しくクルマを利用せずに新幹線で長野を往復しました。現地では合流した友人のクルマを利用でき、そのため往復の交通渋滞ストレスから解放されて、いつもよりリラックスした休暇を過ごすことができました。

渋滞イライラ解消術

テレビ朝日(5/3)の「羽鳥慎一モーニングショー」を見ていたら、「渋滞学」の第一人者、東京大学の西成活裕教授を招き交通渋滞ストレス解消術について放送していました。私も大学時代からクルマのヘビーユーザで、休日や連休の交通渋滞には悩まされてきたこともあって興味深く視聴しました。

西成教授は、渋滞イライラを解消法の一つとして音楽を取りあげています。
1分間に70ビート前後の音楽は心拍数と同じで、リラックス効果とともにストレス解消ともなるといいます。最適な曲は平井堅の「瞳をとじて」だそうです。

オペラを歌うこともストレス発散になるようです。逆にドライブで危険な曲はワーグナーの「ワルキューレの騎行」で音数の多さなどで心拍数と血圧を上げる要因となるとのことでした。

そして渋滞解消のポイントについて「車間距離を開ける」ことを挙げています。実際、クルマを使った実験でも車間距離を開けることで最後尾の車は速度を保ち、早く渋滞を抜けることが出来たとのこと。必要な車間距離は最低40mだそうです。

また、西成教授の見解によると渋滞には2種類あって、1つは「起きなくてもいい渋滞」、もう1つは「どうやっても起きる渋滞」だそうです。後者はいわゆるキャパオーバーの状態でどうしようもなく、諦めるしかないようです。ただ、「起きなくてもいい渋滞」については対応の仕方で回避できるはずだといいます。

例えば、数年前に起きた東名高速の40キロ渋滞。この原因は、たった一台のクルマの追い越し車線への割り込みが原因だったといいます。

このクルマが無理矢理割り込んだ時に、追い越し車線の車がブレーキを踏んで、それが結果として40キロの渋滞になったとのこと。そのドライバーが割り込みをせずに我慢できていれば、渋滞は起きなかったかも知れないといいます。

日本で史上最長の渋滞は154km

NEXCO東日本で「5代目渋滞予報士」を務める外山敬祐さんによると、高速道路における渋滞の定義は「時速40km以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が、1km以上かつ15分以上継続した状態」とのこと。

ちなみに日本で史上最長の渋滞と記録されているのは、1995年12月27日に名神高速道路・秦荘PAから東名高速道路・赤塚PAにかけて発生した154kmだそうです。

渋滞予報士とは、気象予報士のようにオフィシャルな資格を持っているわけではないそうですが、名前の通り渋滞予測に関しては間違いなくエキスパートで、その予想的中率は80%にもなるといわれています。

外山さんは、渋滞の発生原因は様々だが、交通集中によって発生するものが最も多いのだといいます。その中でも、大半は「サグ」と呼ばれる箇所が発生地点になるといいます。

「サグ」とは、“たわみ”や“たるみ”を意味する言葉で、下り坂から上り坂に差し掛かる凹部のことを指します。ドライバーが上りに気付かない程度の緩やかな坂であっても無意識な速度低下は発生しがちであり、そこから渋滞が生まれるのだそうです。

対策としては、車間距離を常に確保することや、むやみな車線変更を控えることなどが挙げられています。高速道路では、混雑が始まると少しでも先を急ごうとするドライバー心理が働き、多くのクルマが追い越しをすることでさらに悪化させる場合も多いそうです。

西成教授と外山さんのお話から、ドライバーが車間距離を常に確保し、むやみな車線変更、割り込み、追い越しを避けることで、交通渋滞はかなり緩和されるとのこと。

簡単なことのようですが、たった一台のクルマの追い越し車線への割り込みが40キロ渋滞の原因となったように、渋滞解消のためにはドライバー全員がルールを守ることが条件となります。

今年もこれから夏休み、シルバーウィーク、そして年末年始休暇など交通量の増える時期が続きます。私も含め皆さんがこの渋滞解消のルールを念頭に運転することで、ストレスの少ないドライブが可能となるのではないかと思います。

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