トレンド

2017.05.22

4月、訪日客単月で最多257万人、〜爆買いから「コト消費」への傾向が顕著に

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

GWも終わり、一気に夏の到来を思わせるような暑さが続きますが、皆さん熱中症にはお気をつけください。

先日、「4月に日本を訪れた外国人観光客が単月としては過去最高となる257万人に上った」と、日本経済新聞(5/18夕刊)の一面で報じられていました。

日本人には当たり前のことが観光資源に

「コト消費」の拡大やクルーズ船の寄港数の増加などが寄与し、前年同月比で23・9%増え、訪日客単月で過去最多の257万人を示したと同紙は伝えています。

国・地域別では、韓国が55万人と前年同月比で56・8%増えたほか、香港が20万人と64・6%の伸び。台湾など13の国・地域で訪日客数が過去最高を記録したといいます。

昨年は3月中だったイースター休暇が4月に移行し旅行客を押し上げたほか、大型クルーズ船や格安航空の利用が増えたのが要因だと報じています。

観光目的としては、中国人観光客の買い物「爆買い」中心だった従来の傾向から、「コト消費」へのシフトが観光客の増加をけん引しているようです。

「コト消費」とは体験を楽しむことを重視する消費を指します。具体的には遊園地や音楽ライブなどのレジャー、着物体験や農業体験などがあるようです。

例えばアジアの人々の人気を集めるのは雪。小説や映画でしか雪を知らず、あこがれを持つ人が多いようです。

日本の美容院も丁寧な接客が好評を得ているとのこと。イチゴ狩りやお花見などその人気の要因を探ってみると、日本人にとっては当たり前のことが思いがけなく観光資源にもなり得ることに気づきます。

「次世代インバウンド」への対応

財務省の国際収支統計によると、外国人が日本で使うお金を示す1?3月の旅行収支の受け取り分は8874億円。四半期ベースでは最高を更新しているとのこと。

中国人の爆買い縮小で1人当たりの消費単価は低下傾向にあるものの、観光客数の拡大で消費総額は伸びているようです。

観光庁によると、2016年の訪日外国人旅行者の総消費額は15年比7・8%増の3兆7476億円と過去最高だったものの、1人当たり旅行支出は15万5896円と同11・5%減ったといいます。

中国人客らが家電などを大量購入する「爆買い」は、国境を越えたインターネット通販の発達などで沈静化した影響とみられています。

政府はこのように経済波及効果が大きい観光の振興を成長戦略と位置づけ、東京五輪が開かれる20年の訪日外国人客数を現在の約7割増の4千万人、30年には6千万人を目指しています。

しかし、観光大国への道のりはまだ遠いようです。世界最大の観光客数を誇るフランスは6600万人の人口に対して、1年間で約1・3倍にあたる8400万人が訪れるといいます。

日本では訪日外国人客は人口比で約2割にすぎず、世界順位も16年5月時点で16位にとどまっています。

訪問先も多様化しモノからコトへと変化する「次世代インバウンド」。人口減による経済の衰退が避けられない状況の中で、日本を「丸ごと観光資源化」するための更なる工夫と強化が求められています。

増え続ける訪日旅行者と多様化する国内訪問先との双方向性コミュニケーションがますます重要になってきます。こうした分野でも、私たちパブリック・リレーションズ(PR)の専門家への役割が期待されいます。

書籍

注目のキーワード
                 
カテゴリ
最新記事
アーカイブ
Links

ページ上部へ