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2016.01.21

エンゲル係数上昇中〜消費スタイルや社会構造の変化が要因

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

今日(1月21日)は大寒。一年のうち最も寒さが厳しくなる日で、この大寒は2月3日頃まで続くようです。それを過ぎると少しずつ暖かくなり、春の訪れを感じられるようになるといいます。

1月15日の日経MJ(流通新聞)1面トップ記事の「エンゲル係数上昇中」の大きな見出しが目に留まりました。

周知の通りエンゲル係数は、家計の消費支出に占める飲食費の割合のこと。19世紀にドイツの社会統計学者フリードリッヒ・エンゲルが提唱したもので、生命維持に必要な食品は他の支出に比べて抑制が困難なことから、一般的には係数が高いと他の支出に回す余裕がなく、経済的に苦しくなるといわれています。

以前は、良く目にしたり、耳にする数字でした。最近では死語になったかと思うほど語られる機会もなく、久し振りに日経MJの記事を興味深く読みました。

今回のブログでは、この記事をベースに「エンゲル係数」や新しい食文化の傾向などについてお話したいと思います。

「エンゲル係数」に異変

生活水準が上がったか下がったかどうかの目安となる「エンゲル係数」に異変が起きているといいます。本来なら経済成長とともに下落するパターンが崩れ、急ピッチで上昇しているとのこと。

これは、世帯人数の減少に伴う個食化や外食化に加え、増税や原料高が重なり、新たな食スタイルが生まれつつあるといいます。

総務省が2015年末に発表した同年11月の家計調査(2人以上の世帯)では、エンゲル係数は25.7%で、7カ月連続で25%を超えたといいます。これはバブル期以来、約25年ぶりの高水準。経済成長とともに係数は低下し、近年は23%前後だったものが、この2年ほどで跳ねあがっているようです。

これまでも増税や原料高はあったものの、デフレの影響もあり、今回のような急速なエンゲル係数の上昇は起きなかったといいます。流れが変わったのは食を巡る消費スタイルや社会構造の変化にあるようです。

変化の要因の一つに共働きの増加が挙げられています。夫婦共働きで、3歳の子供を抱える女性は「週に4?5日は夕飯で子供と外食か、できあいの加工食品を食べる」といいます。

共働き世帯の場合は、調理の準備や後片付けの時間をできるだけ削り、子供とのふれあいや仕事に回したいとの心理や「食に対してはお金をかけてもいい」とう考えもあるようです。

「集食(しゅうしょく)活動」をご存知ですか?

一方で食費の増加から節約に動く人たちもいます。

家族だけでは望ましい食卓を実現できないと感じた消費者が、血縁に関係なく集まって食事をする。そんな「集食(しゅうしょく)活動」が、じわじわ増えているといいます。

午後6時を過ぎると、1人、また1人と同じ建物の中に入っていく光景が見られます。これは、近くに住む人たち同士が食材を持ち寄り、思い思いに作った夕飯を一緒に食べ、食費を割り勘して、解散。そんなことをするための施設が昨年4月、東京都杉並区の住宅街にできたといいます。

私設の名称は「okatte(おかって)にしおぎ」。今年1月7日の夜には、計8人の男女が集まったとのこと。食卓には七草がゆ、カニ汁、焼きナス、豚肉と青菜のにんにくいため、サーモンのサラダ、イカとサトイモの煮物、つくだ煮など、多彩なメニューが並んだそうです。

この日、参加者が支払った代金は1人250円。それと別に、水道・光熱費として100円の会費のみ。

誰がどんな食材を持ってきて、何を作るかといったことはネット上のスケジュールソフトで共有し、調理は早めに着いた人などが担当。

参加者の主たる目的は食事を通じたコミュニケーションにあり、食費を浮かすことは二の次。ただ大人数だからこそ実現できる「豊かな食生活」に魅力を感じているのは確かなようです。

こうした集食活動などの動きについて、私たちパブリック・リレーションズ(PR)の専門家からは、食文化の中に新たなリレーションシップ・マネジメントが生まれようとしていると見ることができます。

2017年に予定される消費増税で、食品全般にはこれまで通りの8%の税率を適用する見通しになっています。しかし、食品以外の支出増は避けられず、エンゲル係数の上昇はいったん止まる公算が大きいと推測されているようです。

私たちの世代では、エンゲル係数の上昇は食費が嵩んで生活が苦しくなるといった意味合いをもつ数値でした。

食生活の変化もありますが、貧富の差が拡がりつつある日本社会において、今後、エンゲル係数がどのように推移していくのか、注目していきたいと思います。

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