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2014.02.06

花粉症が気になる季節に〜期待される花粉の少ない森づくり

皆さんこんにちは井之上 喬です。

インフルエンザが拡大していますので気をつけましょう。厚生労働省は先月末、東京都も第4週(2014年1月20-26日)には、「流行警報基準」(定点あたり患者数が30.0人超)を上回ったとし流行警報を発令しています。

流行はインフルエンザだけではありません、毎年この時期には花粉症の季節が到来します。

花粉症対策のトップ3

気象情報会社のウェザーニューズは関東の1都6県が1月26日に花粉シーズン入りしたと発表。

同社によると、首都圏の飛散量は大量の花粉が飛んだ昨年と比べると少ないものの、平年比でみると80-120%と予測。環境省が発表したスギ・ヒノキ花粉の飛散予測によると、関東のピークは昨年より10日前後早い3月上旬になりそうだとのことです。

花粉症の症状を自覚している人は全体の49.8%とほぼ半数に相当するそうです。女性は52.6%と男性(47.0%)を5%程度上回っています。

これらの人に今春、どんな対策を実施するか聞いたところ首位はマスクで65.7%。以下目薬(35.5%)、うがい(23.5%)と続きました。
今年も対策のトップ3は「昨春実施したこと」と同じ結果になったようです(日経産業地域研究所調べ)。

一方、対策費を昨春より「増やす」「やや増やす」と答えた増額組は全体の19.5%に達したとのこと。また「変わらない」と答えた「維持組」が77.3%と大半を占めるものの、「減らす」「やや減らす」と答えた減額組は3.2%。対策費は20-30代を中心に増加傾向にあるようです。

想定している対策費用は「1000円未満」が36.7%と最多。「1000円以上3000円未満」が31.7%で続き、3000円以上は31.6%と、それぞれ三分された結果になったそうです。マスクは店頭価格が1枚当たり10円程度の商品も多く、目薬と合わせてもそれほど大きな出費にはならないようです。

1500億円を超えるといわれる花粉症対策市場を取り込むために、花粉が特に多かった昨年の重装備に代わり、手軽さや便利さが売り物の商品の品揃えを強化するなど企業のさまざまな工夫が見られます。

そんな中で、自治体では花粉の少ないスギやヒノキの普及に力を入れています。

脱花粉症を目指した企業、自治体の取組み

花粉症は職場での生産性にも影響を与えていますが、紳士服チェーンのAOKIは、花粉が付着しにくい「花粉症対策コート」を発売。眼鏡店「JINS」でも花粉症対策メガネ「JINS花粉カット」を発表し出足も好調のようです。花粉が目に入る量を眼鏡なしのときと比べて最大98%抑制できるといいます。

家電量販店大手のビックカメラでは加湿機能がついた高機能タイプが人気で1月11-13日の空気清浄機の販売額は前年同期比6割増。家具専門店のニトリでも花粉対策カーテンの販売が12月中旬から1月中旬に前年比1割伸びたといいいます。

衣料分野では三陽商会は花粉が付着しにくい生地や、アレルギー原因物質の働きを抑える生地の衣料を展開。

花粉対策マスクも進化が続いています。ユニ・チャームは「超快適マスクすーっとミント」に爽快な香りが特徴のハッカ油を配合した新商品を発売。一方、フマキラーのイオン成分を顔にスプレーして目や鼻への花粉の侵入を防ぐ「アレルシャット 花粉 イオンでブロック」も話題を集めています。

また、厚生労働省は最近、口に薬液を含む新しいタイプのスギ花粉症治療薬を初めて承認しました。承認されたのは「シダトレンスギ花粉舌下液」(鳥居薬品)で、6月以降に処方薬として発売される見通しとのこと。

そして自治体では、直接のアレルギー原因となるスギやヒノキ花粉を根本からなくそうと、花粉の少ない品種育成への取り組みが広がってきています。長期的な取り組みとなりますが、これは毎年花粉症に悩む人にとっては朗報といえます。

神奈川県自然環境保全センター(厚木市)は昨年12月、全国で初めて無花粉ヒノキを発見したと公表。種苗法に基づく品種登録が完了する6-7年後に、まず年間数百本の苗木の出荷を目指すとのことです。

東京都は06年度から青梅市や八王子市など多摩地域で花粉の少ない森づくりを進めています。通常のスギを伐採し、花粉量が100分の1以下のスギに植え替える作業で、現在までに東京ドーム約45個分にあたる215ヘクタールが完了したといいます。15年度までに775ヘクタールまで対象地域を広げる計画のようで面白くなりそうです。

千葉県でも花粉の少ないスギを増やしています。花粉の少ないヒノキを育て始め、15年の春ごろから植え付けが始まりそうです。さらに県農林総合研究センター森林研究所では花粉を飛ばさない無花粉スギも開発中とのこと。

一方埼玉県は、花粉の少ない4品種のスギの普及を進めています。県全体の面積の3分の1が森林で、杉林が森林面積の約3割を占める同県は、「数十年がかりで花粉の少ない品種に切り替えていく」(農林部)考えを示しています。

こうした自治体の取り組みが効を奏すれば、花粉症の悩みからどれだけ多くの人々が解放されることでしょうか。

しかし、脱花粉症を目指す自治体の地道な努力は残念ながらあまり知られていないようです。こうした分野においてもパブリック・リレーションズ(PR)の導入は重要なこととなります。

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