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2013.08.08
展示会でみたホットな太陽光発電市場〜地域に根差した中小規模分散型エネルギーシステムを
皆さんこんにちは、井之上 喬です。
いよいよ8月、海に山に暑さに負けず夏をエンジョイしていますか。
8月6日に広島、そして8日に長崎では原爆が投下されてから68年を迎えます。被爆者の平均年齢は79歳に迫っているとのこと、悲惨な被爆の記憶と核廃絶の願いを次の世代に如何に継承するのか私たちの大きな課題になっています。
朝日新聞8月6日付け夕刊では、広島で行われた平和祈念式典に2012年に引き続き福島県浪江町の馬場 有町長が参列し、「原発事故を忘れてほしくない」と訴えたことを紹介。福島第一原発事故の記憶が風化することを心配する記事が印象的でした。
2011年の東日本大震災以降、太陽光、風力、地熱などの自然エネルギーの活用が注目されています。その中で太陽光発電がこの夏、ホットな市場として注目されています。出力1メガワット以上のメガソーラー(大規模太陽光発電)システムが全国80カ所以上で運転・計画されており、その中には電力会社以外からの新規参入組も多いようです。
盛り上がりを見せた太陽光発電システム展示会
7月24日から26日に東京ビッグサイトで開催されたPVJapan 2013(一般社団法人太陽光発電協会主催)には、初参加の86社・団体を含む過去最大規模の185社・団体が出展しました。
海外勢では中国をはじめ、太陽光発電先進地域のドイツをはじめとするヨーロッパからの出展が目を引きました。
太陽光発電市場の盛り上がりは、2012年7月にスタートした自然エネルギーの「固定価格買い取り制度」が大きく影響しています。
私が経営する井之上パブリックリレーションズは、今年もPVJapanプレスルームの運営を担当しましたが、今年は会期中に取材していただいた記者の数は昨年を大幅に上回る300人超を記録したようです。メディアの注目の大きさが数字にも表れていました。
朝日新聞7月25日の朝刊の記事では、買い取り制度が始まり2012年度の太陽電池の国内出荷量は前年度の2.7倍になったとのこと。
さらに米国調査会社のHISによると、世界3位の日本市場が2013年はドイツを超えて1位になるとの予測もあると、市場が急成長していることを紹介しています。
欧州の二の舞を避け、新しいエネルギー政策の実行を
私も最終日に会場に足を運びましたが、従来からのソーラーパネルや周辺機材などの展示に加え、池に浮かんだメガソーラーシステム、太陽光発電と蓄電池そして家電製品を結び付けて電気を効率的に使う自立型の住宅、住宅と電気自動車の連携など新しい取り組みが会場の随所に見られました。
展示会場を回ってみて太陽光発電関連業界がいかにホットな市場であるかを実感できました。
しかし、同じ朝日新聞は「いまの活況はバブルだ」との懸念の声も紹介しています。その背景には買い取り制度が来年度の契約までは自然エネルギーを売れば必ず利益が出る価格になっていますが、2015年度からは必ず利益が出る価格を保証しなくなる点を指摘。
同紙はまた、買い取り価格の引き下げで太陽電池の需要が減り、結果価格競争に陥り世界最大手だったドイツQセルズが経営破たんに追い込まれた欧州の二の舞にならないようにと警鐘を鳴らしています。まさに指摘の通りだと思います。
東日本大震災による原発事故の影響は日本における再生エネルギー市場への取り組みを加速させています。
安倍政権は原発再稼働に向けた準備を進めているように見えますが、太陽光発電だけでなく、太陽熱、風力、バイオマス、地熱発電などさまざまな自然エネルギーの開発、実用化に向けた研究開発を加速することも新しい産業を創出、育成することにつながるのではないでしょうか。
これまでの大規模集中型に頼るのではなく、地産地消の地域に根差した中小規模分散型のエネルギー政策を本気で考えても良い時期なのではないでしょうか。
太平洋戦争はエネルギー戦争とも言われていますが、日本が総力を挙げて取り組み、世界の最先端をいく再生エネルギー生産国になることで、エネルギー輸出大国になることも可能になるはずです。
パブリック・リレーションズ(PR)の力を使ってその普及に努めたいと考えています。