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2012.11.19

日本が誇る高度な造幣技術〜バングラデシュの貨幣5億枚の製造を受注

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

日本の紙幣には「日本銀行」、硬貨には「日本国」と表記されていますが、この違いをご存知ですか?
硬貨は独立行政法人の造幣局が製造し、紙幣は同じく独立行政法人の国立印刷局が製造しています。硬貨は製造後、国に交付され、国が発行するので「日本国」となります。一方、紙幣は日本銀行が発行するため「日本銀行」と表記されています。お札が別名「日本銀行券」いわれる所以です。

今回のブログでは、造幣局が製造する貨幣(硬貨)についてお話したいと思います。

先週13日、「財務省・造幣局、バングラデシュの一般流通貨幣『2タカ貨幣』の製造を受注」というニュースが流れました。

造幣局が外国の一般流通貨幣製造を受注するのは戦後初となるそうです。今回受注した「2タカ貨幣」(日本円で約2円に相当)はステンレス製で、直径は24ミリメートル、重さは5.5グラム。デザイン的にはバングラデシュの国章(表)とバングラデシュ初代大統領ムジブル・ラーマン氏の肖像(裏)で構成されます。

バングラデシュ中央銀行が今年7月14日に入札を実施。日本以外にスロバキア、オランダ、ドイツ、スペイン、イギリスの計6カ国が参加した競争入札となったそうです。

11月8日、日本が最も安い約5億2,000万円で落札。製造枚数は5億枚で年明けから造幣局の大阪工場で製造を開始し、2013年4月頃から同国に納入をはじめる予定とのこと。

今年は日本とバングラデシュの国交樹立40周年の節目に当たります。今回の受注は、両国間の一層の関係強化にも貢献する出来事となりました。

東南アジアと中東へ造幣技術の売込みを強化

造幣局が製造する国内での硬貨は、1974年の56億1千万枚をピークに昨年は景気低迷や電子マネー普及の影響もあり7億3800万枚に減少しています。

こうした状況を踏まえ、財務省と造幣局では「設備の有効活用と多様な貨幣製造のノウハウを得ることができる」として、今後、外国貨幣製造の受注拡大を目指す方針を明らかにしています。

発展途上国では経済成長に伴い貨幣需要が伸びる一方ですが、自前の造幣工場をほとんど持たず、外国に委託するケースが多く、そこには大きなビジネスチャンスが生まれています。財務省と造幣局は早速、今年12月以降に東南アジアと中東の10カ国への売込み強化に乗り出しました。

造幣局は、近代国家としての貨幣制度の確立を図るため、明治新政府によって大阪市北区に創設され、明治4年(1871年)4月4日に創業。

その後、貨幣の製造のほかに時代の要請にこたえて勲章・褒章、金属工芸品などの製造、地金・鉱物の分析及び試験、貴金属地金の精製、貴金属製品の品位証明(ホールマーク)なども事業に加え、2003年4月1日からは大阪市に本局、東京と広島市に支局をもつ独立行政法人となっています。

500円硬貨に隠された最先端技術

現在、造幣局が製造している硬貨は6種類(1円、5円、10円、50円、100円、500円)。
いずれも世界最高峰と呼ばれる日本の造幣技術を生かしたもので、熟練の技術者が細心の注意を払って製造にあたっています。

造幣局によると日本の最大の武器は偽造防止の技術で、日本円の偽造硬貨の発生率はユーロ硬貨の10分の1以下といわれます。

皆さんは、ご自分の500円硬貨を身近に観察したことはありますか?実にこの硬貨には、きめ細かな細工が施されているのです。

例えば、私たちが日常的に使用している500円硬貨には偽造・変造防止のため次のような先端技術が採用されています。

1)見る角度によって裏面*の500の「0」の中に縦組みの文字(500円)が見え隠れする潜像加工
(写真:造幣局HPよりhttp://www.mint.go.jp/operations/coin/new500-02.html)

 

2)大量生産型貨幣では世界初となる貨幣側面の「斜めギザ」

3)微細点・微細加工(細かい点や細い線)

4)ニッケル黄銅素材(特殊な組成の合金)

*現在、日本には硬貨の表裏を明記した法令はありません。造幣局では作業の必要性から、現在は年号(平成〇〇年)が記されている方を「裏」としています。

使用する側にとって通貨は買い物をする際のツールのようなもの。しかし改めてこうした微細加工技術をみると、500円硬貨が芸術品にさえ見えてきます。

通貨は、経済活動や国民生活の基盤となるものです。造幣局の世界に誇る最先端の造幣技術に対して途上国での認知を拡げ、造幣局ブランドを高めていくうえでパブリック・リレーションズ(PR)は、極めて有効な手法となるはずです。
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井之上喬著「パブリックリレーションズ」(2006年3月、日本評論社刊)は、おかげさまで5月30日付で第6刷が発刊されました。ご愛読ありがとうございます。
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