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2024.12.25
ますます深刻化する「少子化現象」
~2024年の出生数は初めて70万人を下回る危機に
皆さんこんにちは井之上喬です。
早いもので2024年もあとわずかになりました。
街には色鮮やかなクリスマスツリーが飾られ、サンタクロースが子供たちのためにあわただしく駆け回るクリスマスです。
クリスマスは世界中で老若男女が明るく楽しくお祝いをします。
2024年上半期出生数は前年同期比6.3%減の32万9998人に
次世代と言えば心配なのが、日本の少子化現象がますます深刻になっていることです。
厚生労働省が11月5日に公表した人口動態統計(概数)によると、2024年1月から6月の上半期に生まれた子どもの数は、前年同期比6.3%減の32万9998人(外国人を含まず)でした。
このままでいくと、2024年の出生数は統計数値がある1899年以降で過去最少だった2023年の72万7277人を下回り、初めて70万人を割る公算が大きくなっています。
新聞報道では、「価値観の多様化で未婚・晩婚傾向が進んだこと」、「新型コロナウイルス禍で結婚や出産を控える人が増えたこと」などが少子化に拍車をかけたとみられると分析しています。コロナ禍が人口減に拍車をかけたことは想像に難くありませんが、未婚者が家族の在り方について持つ価値観が変化してきたとなると、話は深刻になってきます。
以前イーロン・マスク氏が日本のこの状態について、「日本はこのままいくといずれ消滅する」と言いましたが、これが笑い話では済まなくなることを、私たちはどのくらい深刻に受け止めているでしょうか?
政府は異次元の少子化対策を掲げ、所得制限の撤廃など児童手当の拡充や、高等教育費の負担軽減策などを進めようとしています。しかしこの少子化現象を止められるか、大いに不安です。
当然のことながら、少子高齢化による人口減で労働人口や消費者が減少すれば、企業や自治体は企業活動やサービスを維持できなくなるだけでなく、医療や年金などの社会保障制度にも打撃となる恐れがあります。
政府はこれまでにない少子化対策を
日本パブリックリレーションズ学会が2年半にわたって行った「失われた30年の検証研究」でのヒアリングに参加した有識者に共通した認識は、日本が少子化問題に抜本的な対策を打ってこなかったということです。
この人口減少問題に対して、政府は思い切った発想の転換を行うべきではないでしょうか。かつて日露戦争の際、当時の蔵相・高橋是清は、ロシアとの戦は日本の国難として、欧米から戦費調達のために戦時国債を発行し、80年かけて返済しています。100年200年のスパンで見ると、日本の今の状況は当時よりはるかに深刻ではないか、と個人的には思います。
女性の社会進出で共働き家族が増える中、家庭環境も変化しました。子育てに対する考え方も大きく影響を受け、少子化に拍車がかかっています。私は少子化対策として、お子さんが生まれ、成人するまでに総額、1000-2000万円を支給すれば、家庭を持つ親の経済的な負担を軽減し、少子化をくいとめられるのではないかと考えています。第1子、第2子、第3子、第4子と子供が増えればその金額に幅を持たせ、家族を増やすという考え方です。無論、お金だけでなく、共働き家庭の環境整備やシングルマザーの労働・経済環境の整備など、子育て支援の質の向上も重要になります。
独立行政法人、労働政策研究・研修機構(JILPT)が調査した、生涯賃金など生涯に関する指標データを見ると、学校卒業後フルタイムの正社員を続けた場合の 60 歳までの生涯賃金(退職金を含めない)は、男性は高校卒 2 億円、大学卒 2 億 5 千万円、女性は高校卒 1 億 5 千万円、大学卒 2 億円です。各々が賃金をもらうために生産する額は、50-100%大きくなることを考えると、全体として相当な生産額になることは明白です。
子育てを投資として見ることは極めて不適切なことを承知で、あえて国家経営の視点で考えてみたいと思います。人生100年時代、一人の子供に対する投資が、現在の子供手当や授業料負担などに加え、仮に20歳の成人まで子育て・教育支援として新たに2000万円を追加しても、投資効率は赤字であるはずはありません。これについては今後、学会研究会でシュミレーションしてみたいと考えています。
失われた30年検証研究会のヒアリングで、佐々木毅・令和臨調共同代表・元東大総長が、政治家は政策実現のために「政策を100年、50年、20年の時間軸で先を見なくてはならない」(報告書P213)とコメントしたことが心に強く残ります。
本日、待望の日本パブリックリレーションズ学会出版の報告書、「日本再生へのチャレンジー国家経営の抜本的改革をー」が綺麗に印刷製本されて上がってきました。
私たちにとっては待ちに待った宝物です。何よりのクリスマスプレゼントになりました。さっそくヒアリングにご協力いただいた2人の政治家、石破総理と野田代表のところにお届けしました。今後、衆参の国会議員、47都道府県の知事、県庁所在地の市長、主要経済団体、メディアなどに届け、よりよい日本社会を作るために役立てて頂きたく思っています。
どうか皆さん素敵なクリスマスをお過ごしください。
Merry Christmas !