パブリック・リレーションズ

2009.02.28

『体系パブリック・リレーションズ』を紐解く 9〜米国実務家のプロフィール

こんにちは井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか?

今週は、『体系パブリック・リレーションズ』Effective Public Relations (EPR)第9版の邦訳:ピアソン・エデュケーション)をご紹介します。私もメンバーの一人として翻訳に加わった同書の原書(EPR)は、米国で半世紀以上のロングセラーを記録するパブリック・リレーションズ(PR)のバイブル的な本です。

今回は、第2章の「パブリック・リレーションズの実務家」(井上邦夫訳)の中から特に「パブリック・リレーションズの実務家の数は増加の一途をたどっている」と本書で語られている実務家について、どのような人物像で、どのような職場でどのような業務を行っているかなど、米国における実態について紐解きます。

PRは90年代に最も急成長した「最良の仕事」

本書によると、米国労働省はパブリック・リレーションズの雇用統計について次のように記しています。「毎月の勤労統計の中で、『マネジャー:マーケティング、広告、パブリック・リレーションズ』と『パブリック・リレーションズ専門家』に分類している。残念ながら、これらの分類はこの分野で働く全員を含めていない」。

そして、「例えば、パブリック・リレーションズのマネジャーは、他のマネジャーと一緒にカウントされるため、個別の数値は入手できない。アーティストやグラフィック・デザイナー、フォトグラファー、ビデオグラファー、ロビイスト、レセプショニスト、リサーチャー、その他のパブリック・リレーションズ部門で働く専門家は別の職業分類でカウントされる。そのため、労働省の数値は、パブリック・リレーションズ部門で働く人のおそらく半分以下にすぎない。」と実際の数は統計数字を大きく上回っていることを示しています。

また本書は、「データは不完全ではあるが、『フォーチュン』や『U.S.ニュース&ワールド・リポート』などの雑誌は、1990年代に最も急成長した『最良の仕事』の中にパブリック・リレーションズを入れている」と記しています。

PR実務家の最大の雇用主は連邦政府

パブリック・リレーションズ専門家の雇用機会は、あらゆる場所に存在するが、人口の多い主要地域に集中している、と本書で語られ「米国パブリック・リレーションズ協会(PRSA)の会員数が最も多いのは、カリフォルニア、ニューヨーク、テキサス、オハイオ、ミシガン、ペンシルバニア、そしてイリノイの各州である。」と例示。

「しかし、最大のPRSA支部は1000人の会員がいるワシントンD.C.である。2番目は僅差で、およそ920人の会員がいるニューヨーク支部である。続いて、ジョージア州アトランタ支部が700人超、シカゴ支部が560人、デトロイト支部が500人、コロラド州デンバー支部が480人、ロサンゼルス支部が465人となっている」。

私の著書『パブリック・リレーションズ』(2006、日本評論社)のなかで、PRSAは全米に114の支部をネットワークし、20000人を超える会員を持つと推計していますが、およそ4分の1が上記の7支部に所属していることになります。

実務家の就労先を見ると、「およそ40%は製造業、金融、工業、消費財、メディア、公益事業、運輸、エンターテインメントなどの民間企業、27%はパブリック・リレーションズ会社や広告会社、個人コンサルタント、14%は協会や財団、教育機関で8%は病院、医療機関、その他健康サービスなどのヘルスケア関連、6%は連邦、州、地方政府、5%が慈善団体、宗教団体、その他非営利団体(NPO)」となっています。
そして本書では、パブリック・リレーションズの単独で最大の雇用主は連邦政府で、米国人事院によれば、4,400人の様々な肩書きの「パブリック・アフェアーズ」専門家が働いているという興味深いデータも紹介されています。

また実務家の92%以上は短大・大学を卒業しており、25%は修士号、2%は博士号を取得しているとされています。

私のブログ09年2月7日号「不況に強い、パブリック・リレーションズ」の中で、米国のパブリック・リレーションズ市場がフィー・ベースで100億ドル(9000億)を超えていることを紹介しました。650億円(2006年広報・PR業界実態調査)と推定される、広告費に突出したアンバランスな日本のPR市場が、将来適正化されることが期待されています。

日本のPR市場規模の拡大を支えるのは、パブリック・リレーションズの実務家であることはいうまでもないことです。こうした意味からも、日本におけるPR実務家の育成は喫緊の課題となっているのです。

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