パブリック・リレーションズ

2009.02.07

不況に強い、パブリック・リレーションズ(PR)

こんにちは井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか?

100年に一度というこの世界規模の経済不況の中で、企業はまさに生き残りをかけた選択と集中に迫られ、より戦略的な対応が求められています。

2008年度の決算予測を見ても、トヨタ、日産などの自動車産業に続き、日立製作所、SONY、パナソニックなどの大手家電メーカーが昨年度の高収益決算から一転し巨額の赤字決算を予測しています。「不況になるとまず宣伝広告費が削られる」というのは常套句。今回は不況時に強いパブリック・リレーションズ(PR)についてお話します。

売上減に苦しむ広告会社

電通発表(2007年日本の広告費)によると、2007年の日本の総広告費は2004年から4年間連続のGDPと同様に前年比プラスで7兆0191億円を示しています。GDPと広告費の相関関係は明確で、広告が景気の影響を受けやすいことを示しています。

同社の2009年2/6日発表のリリースには、1月単月度の売上高総計は955億8500万円で対前年同月比91.7%と急落。既存四大メディアの売り上げがいずれも前年比マイナスとなり業界に深刻な問題を投げかけています。

それでも企業における広告費出費の割合は圧倒的に高いのが現実。ちなみに日本のパブリック・リレーションズ(PR)に対する費用は、まだ低いと言わざるを得ません。(社)日本パブリック リレーションズ協会の調査では、PR業界の市場規模はおよそ650 億円(2006年広報・PR業界実態調査)と推計しています。企業の広報部で使われる予算は別にして広報・PRの中に具体的にどのような項目が入っているかわかりませんが、先述の広告の市場規模と比べ大雑把にみても1%に満たない数字です。『PRディレクトリー』も示しているように、米国でのパブリック・リレーションズがフィー・ベースで100億ドル(9000億)を超えている現状を考えても、日本のPR市場の将来の可能性が如何に高いかが理解できます。日本の広告費の突出は極めてアンバランスな状態を呈しています。日本のPR市場は将来4-5000億円規模に拡大することが容易に理解できます。

PR会社にとってのチャンス

不況になると、組織体とりわけ企業は収益が低下し、ある意味で危機管理状態に入ります。その場合、ほとんどのケースで経営トップの強力なリーダーシップが求められます。規模による違いはあるものの、選択と集中のために事業の隅々にまで介在し素早い対応策を打ちだしていきます。戦略性をもったスピード感のあるコーポレート・レベルでのリレーションズ(関係構築)活動が必要とされると同時に、マーケティング・レベルでは既存の商品の販売政策や流通政策、価格政策などのマーケティング手法や戦略の再構築、そして市場ニーズに合った新製品の規格・開発などが急がれてきます。

こうした際には、日頃経営トップとかかわりをもち戦略的カウンセリングをおこなうパブリック・リレーションズの役割が平常時と比べ増大することになります。不況時には緻密な経営が求められるように、緻密で戦略的なパブリック・リレーションズが求められます。

日本の広報・PR予算はまだまだ低く、これでは日本企業が国内はもとより世界市場でも戦っていけるはずはありません。欧米企業と比べ利益率は低いものの、売上や従業員規模が大きい日本企業は沢山存在しているものの、体形に見合ったパブリック・リレーションズがほとんど行われていないのが現状。

日本のPR会社のフィーは、基本的に時給計算されますが、かかわるスタッフのランクによっておよそ時間8000円から5万円程度の幅で設定されています。また、契約形態は、定期(リテナー)契約とプロジェクト契約がありますが、多くの場合はリテナーとプロジェクトの組み合わせで契約するケースが多いようです。そして、予算は何をどのくらいやるかによって、かかわってくる時間が変わります。コンサルテーションだけではなく、細かい実施作業(ex:メディア・リレーションズにおける記者会見やプレス・リリースの実施や作成などの現場支援)を含めるかどうかで予算が変わります。

したがって、契約料金も月額80万から250万と幅があります。すでにある程度システムが出来上がっている企業の場合は、PR会社からのコンサルテーションだけですむ場合もありますが、広報部門の組織が不十分の場合には実施にかかわる業務も派生してきます。いずれにせよ、企業トップや広報トップに直接アドバイスできる環境をつくっておくことが極めて重要となります。私の会社(井之上パブリックリレーションズ)がこれまで手掛けた外資企業の広告予算とPR予算を例にとると、売上規模などによってその比率は変わりますが、BtoBの場合は広告費を含めたマーケティングの中の総予算に対するPR(マーケティングPR)費用は10-50%で、BtoCでは3-20%の幅ではないかと考えています。

広告とパブリック・リレーションズとの決定的な違いは、前者は、その性格上決められたものをどう表現しどのように訴えていくかが重要なファクターとなりますが、後者は環境の変化を読み取り、真のニーズを把握し、必要であれば経営方針や事業の方向転換を促す役割も担うということです。パブリック・リレーションズが不況に強い理由がここにあります。

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