趣味

2009.07.20

私の心に残る本 28 斉藤孝の『人間関係力』

『人間関係力』 齋藤 孝著 こんにちは、井之上喬です。
みなさん、いかがお過ごしですか。

ビジネスの現場において、ストレスの素となるような問題はひっきりなしに発生します。その多くは人間関係に関わるもの。今日は、斉藤孝著の『人間関係力』(2008年、小学館)を紹介します。斉藤孝さんはパブリック・リレーションズに関わっている方ではありませんが、私はこの題名を目にした時、とっさにパブリック・リレーションズ(PR)を連想しました。

著者の斉藤孝さんは、教育論、身体論、ビジネス論を展開し、現在は明治大学文学部で教鞭をとっています。本書で斉藤さんは、人間関係から生まれる疑問に対し、エジソンや黒澤明、マキアヴェリなど33人の歴史上の偉人の言葉を通して、具体的な対応策を提示しています。

武蔵のモットーは「観見(かんけん)」

「(中略)観見二つのこと、観の目つよく、見の目よわく、遠きところを近く見、ちかき所を遠く見ること、兵法の専也」

宮本武蔵が『五輪書』に残したこの「観」とは全体を俯瞰すること、「見」とは焦点を絞ってみることです。文章全体の意味は、相手の全体と詳細をバランスよく把握するために、相手の動きに捕らわれずに、その背景も同様に良く観察しなさいということです。

武蔵は、相手に先手を打つことで剣豪として生涯無敗の人生を終えました。その極意は、「観見」。武蔵は、勝負には相手をあらゆる角度から客観的に観察することが大切であるとし、相手を正しく捉えることができれば、自ずとその対応は決まると説いています。

斉藤さんは、「勝負に敗れる人の多くは、どうしても『見』が強い」と述べています。そして、「もし『敵』の姿を正確に把握していたら、こちらが窮することも、途中で言い争うことも、そうはあるまい」と断言しています。

新渡戸のチアフルな世渡り

「世に処するに善意を持ってし、『チアフル』に世渡りしたい」
新渡戸稲造の「チアフル」な世渡りとは、人生をできるだけ上機嫌に過ごしたいというものです。新渡戸はそのために、いやな事を笑顔で包み込んだり、自分をさらけ出すことで周囲を上機嫌にしたりと、さまざまな工夫をしていたようです。

新渡戸は、若いころから随分と短気だったらしく、念仏を唱えたり、寝る前に怒りの告白をノートに記したりと、自らの怒りを静めるための修養を実践していました。斉藤さんは、「新渡戸が後世、品格ある人物といわれたのは、生まれ落ちたときから人格者であったからではなく、自分が『短気』であるという欠陥を認識していたからだ」と述べています。

新渡戸稲造のように、自らの欠点を認めて修練により、良い方向に変えていく努力は必ず人生を明るくします。明るい人には人が集まってきます。人は誰でも変われる力を内に秘めいているものです。
斉藤さんはまえがきの冒頭で、人間関係を水に例え、人生の大きな推進力にもなるが抵抗力にもなると指摘しています。人間関係を人生においてプラスに働かせるには、現状を受け入れる、自分も他人も楽しくさせる、心と心を結ぶという、個としての基本が大切であるようです。

パブリック・リレーションズ(PR)は目的達成のための関係構築活動です。そのためには人間関係をいかにマネージするかがポイントとなります。今回は2人を紹介しましたが、ほかの31人の人生教訓を学ぶだけでなく、それぞれの偉人の意外な素顔も知ることのできる本です。一度読んでみてはいかがでしょうか。

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『「説明責任」とは何か』 井之上喬著 <お知らせ>
『「説明責任」とは何か』(PHP研究所、税込735円)
好評発売中!
いまや日本中で連日連夜、謝罪が繰り広げられている。「説明責任を果たしていない」と詰め寄られる企業不祥事の記者会見。「説明責任は果たせたと思う」と大臣をかばう総理のコメント。
だが国民はけっして納得していない。いまなぜ、どのように《説明責任》を果たすことが求められているのか? パブリック・リレーションズ(PR)の第一人者が、「倫理」「双方向」「自己修正」の三つの原則から、日本における《説明責任》の実態を解説し、問題点を指摘する。情報開示に不可欠なリスク管理にポイントをおいた待望の書き下ろし。
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