時事問題

2011.04.04

災害時のインターネット情報:その光と影 〜サイバー犯罪者に対する自衛策

こんにちは井之上 喬です。
東日本大震災から早いもので20日以上が過ぎました。地震や津波の被害だけでなく、東京電力の福島原発事故の影響も重なり混沌とした状況が続いています。被災された皆さまに改めてお見舞い申し上げます。

そうしたなかでも季節は着実に春に向かっています。桜の開花とともに新年度がスタート。新入学生、新社会人が新しい人生の第1歩を踏み出しました。

今回の大震災から復興するには、5年、10年はかかることでしょう。それぞれの立場で地域の復旧とともに日本の抜本的な変革のために将来どのようにかかわっていくべきか、日本人全員がしっかりと見据えて行動するときといえます。
自粛ムードが蔓延していますが、過度な自粛は経済を弱体化し被災地支援をままならなくしかねません。1年に1度、この季節のために桜は花を開き日本人を楽しませてくれます。被災地に思いを馳せつつその美しさを今年も楽しみたいものです。

災害に便乗したサイバー犯罪者

日々、大震災の報道が流れていますが、今回の災害報道では従来のテレビ、ラジオ、新聞に加えインターネット報道の重要さがクローズアップされています。

テレビや新聞などの従来型メディアにどちらかと言えば画一的な報道が多いのに対し、インターネットではさまざまな発信元からリアルタイム情報が世界規模で配信され、災害情報の収集や発信などで貢献しています。

私が経営する会社、井之上パブリックリレーションズ(井之上PR)の多くの外資系クライアントも、原発事故による放射能の影響など特に関心の高い情報については、日本政府の発表よりも自国政府やIAEAなど国際原子力機関の発表をネットでリアルタイムに入手し、これらを基準に行動するケースも多くみられます。

インターネットが今回のような災害時に、人々の行動決定に大きな影響をおよぼす媒体になっていることを改めて知らされました。

その一方で、誤った情報による風評被害の拡大や詐欺メールのトラブルなど、影の部分にも注視しなければなりません。
インターネット・セキュリティ大手のマカフィーは、3月18日のMcAfee Labsブログで「東北地方太平洋沖地震に便乗するサイバー詐欺にご注意ください」と題する情報を配信。大震災に便乗した詐欺に警戒するよう呼びかけています。

それによると、サイバー犯罪者は情報を探しているインターネット・ユーザーをだますため、昨年のハイチ地震と同様に、今回の大震災でも情報や金銭を引き出すオンライン詐欺が数多くみられるとしています。

その中には地震発生からわずか2時間で開設された詐欺サイトなどが多数確認されたとしています。マカフィーによれば、赤十字など正規の救援団体からのメールを装い、被災者への寄付を依頼するメールが確認されており、メールにはクレジットカード情報の入力を求める偽のサイトへのリンクが記載されているとのこと。

マカフィーでは、一人でも多くのユーザーが詐欺を識別し、回避することができるように判明しているメールや検索結果、ソーシャルメディアなどの具体例を紹介するとともに、このような脅威から身を守るためのヒントを紹介しています。(詳しくはこちら

情報を見極める眼力を持つ

被災者や支援者から送られたように見える、金銭的な援助を求めるスパムメールには気をつけなければなりません。
YahooのCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)の別所直哉さんも3月23日の日経産業新聞で、正確性や客観性が担保されていない情報も多いことを留意すべきとし、「公式情報」と「口コミ」をしっかり見極めることが必要だ、と指摘しています。

まさにその通りだと思います。彼はまた、情報を共有する際は公式の情報源をリンクすること、義援金サイトの利用は公式ページからアクセスすることが重要としています。

“なりすまし”によるフィッシング詐欺の手口は、有名企業や金融機関、団体などを装い、無差別にメールを送りつけ、相手のクレジットカード番号や銀行口座番号、暗証番号などを記入させるなど実に巧妙です。

フィッシング詐欺を防止するためには、SSL( Secure Socket Layer )がフォームに利用されているかなど、ウエッブサイトの安全性や真偽を見極めることが重要。

私もパブリック・リレーションズ(PR)に関わる一人として、情報の信頼性を見極める眼力がこれまで以上に求められていることを痛感しました。

前回もお話したように今回の震災では、携帯電話がつながりにくい時にインターネットやSkypeなどを使い情報収集や安否情報を得ていたようです。

またインターネットにアクセスする端末としてはこれまではパソコン、携帯電話などがありましたが、今回の震災ではスマートフォンやタブレットPCが大いにその威力を発揮しました。

便利なネット社会ですが、賢い利用者として情報の真偽を見極める目と情報機器を使いこなす能力を、一人ひとり持つことがますます大切になってきています。

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