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2012.07.30

ロンドン五輪開幕、大和撫子の活躍に期待〜女性管理職・役員の登用が企業成長戦略のカギに

皆さんこんにちは井之上 喬です。
ロンドンオリンピックが開幕しました。時差の関係で深夜から早朝にかけて決勝が行われることが多いとのこと、寝不足に加えての猛暑、どうぞ体調管理にはお気を付けください。

ロンドンオリンピック日本チームの先陣を切ったのが、サッカー日本女子代表なでしこジャパン。初戦の強豪カナダ戦に2対1で快勝、弾みをつけました。その流れを受けサッカー日本男子代表は優勝候補のスペインに1対ゼロの大金星を挙げました。AFP通信は「オリンピック史上最大級の番狂わせ」と報じ日本代表を絶賛しています。

さまざまな競技に参加する日本選手団が、日ごろの練習の成果を十分に発揮できるよう祈りたいものです。

女性管理職比率はフィリピンの1/5、米国の1/4

今回のロンドンオリンピックの日本選手団は総勢293人、このうち女子が156人と男子を上回っており、なでしこジャパンを筆頭にここ数年の日本女子選手の国際舞台での活躍の結果とみることもできます。

スポーツの世界からビジネスの世界に目を向けると、世界市場で競争力を維持し成長するためには女性の力が不可欠なことが改めて認識されています。

日本企業の女性の管理職・役員への登用・活用は世界的に見て大きく遅れているのが事実です。

管理職における女性比率は、OECD(経済協力開発機構)加盟国が、フィリピンの54.8%を筆頭にアメリカ42.7%、フランス38.5%、ドイツ37.8%と軒並み30%を超える中で日本は10.6%にとどまっています。

また女性取締役比率となるとノルウェーの44.2%、スウェーデン21.9%、ブルガリアの17%などに大きく後れを取り、OECD加盟42カ国中で韓国の1.5%に続く38位でわずか1.4%と情けない数字になっています。

その一方で「単に女性役員を増やせば良いと言うものでもない」と反論する方も多いかと思いますが、アメリカのNPO Catalystや日本の東洋経済の調べでは、女性取締役の登用、女性管理職比率が高い企業の収益伸び率は相対的に高いことが判明しているそうです。

さらに興味深いのは、イギリスのリーズ大学ウィルソン教授の研究です。すくなくとも女性役員が1人以上いる企業は破綻リスクを20%減らすことができると分析しています。

ダイバーシティは待ったなしの経営課題

企業規模を問わずグローバル化が待ったなしの日本企業にとって、多様な人材を活用し、イノベーションを継続させ、その結果として世界市場で成長企業となるためには“ダイバーシティ(異文化と多様性)”の促進が大きな経営課題になっています。

経済同友会(代表幹事:長谷川閑史 武田薬品工業社長)は今年5月に「『意思決定ボード』のダイバーシティに向けた経営者の行動宣言 ?競争力としての女性管理職・役員の登用・活用?」と題する提言をまとめています。

まず提言での意思決定ボードとは、「経営や事業の意思決定に関る役割を担うメンバーを表し、具体的には部長、役員(取締役、執行役、執行役員)を指す」と規定。

そのうえで意思決定ボードのダイバーシティは、グローバル経営戦略の重要な要素であり、経営者自らが実現すべきテーマであるとしています。

そしてその実現のために、2020年までに女性役員の登用も視野に入れて「女性管理職30%以上」の目標を、企業が率先し達成するために努力する、との行動宣言を掲げています。

さらにこの目標実現に向けて、各企業が目標値を自ら掲げ女性管理職・役員の登用・活用を進める、女性管理職・役員の人数・比率および各社の目標値をIRやCSRレポートなどで積極的に情報公開するとし、ダイバーシティの促進が今後の大きな経営戦略であると位置づけています。

特に重要なポイントは、情報の開示。日本企業の女性の管理職・役員への登用・活用が世界的に見ても遅れているのは事実で、そのなかで目標設定しその結果を積極的に情報公開するのはなかなか勇気のいることです。
皆さん、ご自身のまわりを見てダイバーシティの進展はどう感じられますか。

ある日本企業の経営者が面白いことを言っていました。「わが社のイノベーションについて部長クラスの会議を行ったが、メンバーは黒や濃紺のスーツを身に着けたおじさんばかりで改めて愕然とした」とのこと。

おじさんが悪いのではありません。「何か新しい取り組みをしようとするときには、性別や年齢、そして国籍にとらわれない異なった考えの結集が不可欠」だと思うのです。

私が籍を置いているパブリック・リレーションズ(PR)業界はどうだろうか、そして私が経営する会社はどのような状況だろうか、このレポートを読みながら女性の皆さんのエネルギーがこれからの日本にとって欠かせないことを再認識しました。

 

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