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 ?覚醒した次世代リーダーのために»

2007年09月28日

PRパーソンの心得 13 リーダーシップ

こんにちは井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか?

9月25日の国会の首相指名選挙で自民党の福田康夫総裁が第91代の首相に選ばれ、日本の新しい政治リーダーが誕生しました。「安心と希望」を掲げた福田新首相。「国民のための政治が」行われるよう願うばかりです。

PRパーソンは、所属する組織やクライアントのトップなど、リーダーに助言を提供する役割を担っています。ですからPRパーソンが、リーダーシップとは何か、リーダーのあるべき姿とは何かを理解することはその役割遂行において重要なことです。

■ 不確実性を乗り越えられる人
『広辞苑』で「リーダーシップ」とは、「指導者としての地位または任務。指導権」「指導者としての資質・能力・力量・統率力」と記されています。国や時代によってあるべきリーダー像は変容していますが、今日のように急激な変化が日常化する時代にあっては、自ら変革の担い手となり、個人や組織を導くことのできるリーダーシップが渇望されます。

ハーバード・ビジネススクールの組織行動論の担当教授であるジョン・コッターは、変革型リーダーシップの特長として次の3つを挙げています。1)ビジョンの設定 2)ビジョン達成に必要なリソースのネットワーク構築 3)実行。これら3つの特長はPRのライフサイクル・モデルのプロセスと重っており、リーダーシップにとっていかにパブリック・リレーションズの手法が有効かが示されているといえます。

また、次世代リーダーの輩出に取り組むNPO法人ISLの理事長を務める野田智義氏はその自書『リーダーシップの旅』(2007年、光文社)の中で、変革を担うリーダーの本質とは、見えないものを見る力にあると説いています。つまり、誰も想像すらしないことを発想・予見し、それらを具現化する力にあるとしています。

このような未来に対する不確実性を乗り越えるために必要なものは何か。

これまでの私の経験から、以下の5つを挙げることができます。1)自分を見つめ受け入れること 2)自らの意思で大きなビジョンを描くこと 3)大局的な視点に立ち将来を予測する力 4)自己責任の下にリスクを取ることのできる勇敢さをもつこと、そして 5)失敗を糧とし果敢に挑戦し続けることができること。これらの特長には、以前このブログで紹介した『ビジョナリー・ピープル』の中に示されている、継続して成功している人たちの特性と類似していることが認められます。

つまり、自らをリードし主体的に行動することのできる自立した個のみが、未来に対する不確実性を乗り越えたビジョンの達成を可能とするということがいえます。

■ 「ノブレス・オブリージュ」の精神
一方、リーダー(所属する組織体のトップやクライアント企業のトップ)との関わりにおけるPRパーソンの役割は、トップと意識レベルを同じにして、彼らがリーダーとしての役割を果たせるよう戦略的にサポートすることにあります。

その際にPRパーソンは、ターゲットとの双方向性コミュニケーションを実現させ、倫理観に基づいた行動を促し、必要な修正を自ら行うことのできる環境を整え、スムーズな目的達成への土台づくりに心を砕かなければなりません。

PRパーソン自らがリーダーシップを発揮すべき時もあります。それは危機発生時。精神的に混乱したり落ち込んでいるトップに対してPRパーソンは、励ましの言葉はもちろん、専門家として問題解決のための適切な戦略と実施プランを速やかに提示し問題解決にあたらなければなりません。不祥事にあえぐ組織体トップに対して、一時的にはダメージを負うような情報をも開示し、事態を一刻も早く収拾し前進させるよう説得しなければなりません。

この場合とりわけ重要となるのは、危機的状況を切り抜けるため、客観的に物事を俯瞰する広い視点と、激しく変化する事態を静観し潮目を読みながら冷静に対処する能力。そして、もてる資源を有機的に統合しゴールへと導くリーダーシップです。

いまの時代は、変化を機会と捉え、リスクをとりながら前進しようとしなければ生き残りさえ難しい時代です。しかし最近のメディア報道を通して私たちが目にするのは、日本の政界や財界、教育の現場など至る所でリーダーシップの不在が散見されていることです。

それは、今の日本が「ノブレス・オブリージュ」(高貴な身分に生まれたものとして自覚すべき責務=選ばれた人の責務)の精神の欠如にあるのからかもしれません。

「ノブレス・オブリージュ」の精神は、選ばれた者として責任と役割を自覚して行動することにあります。鼻持ちならないエリート意識とは一線を画すもので、社会的使命を持つものが自覚すべき責務であり、リーダーに欠くことのできない覚醒された意識です。

PRパーソンは、所属する組織体やクライアントのトップに対する目的達成への戦略や道筋を提供する役割を担っています。PRパーソンがリーダーシップとは何かを理解して彼らに正しい道筋を示し続けることは、日本が変革していく上で重要なことなのです。

投稿者 Inoue: 2007年9月28日 18:39

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